第六感
俺の同居人に聞いた話だけど、今年の冬くらいまでの一年程の間霊感があったそうだ。
頻繁にないはずの物が見えていて、黒い影のようなものが目の前を転がりながら横切って行ったとか、透けた人がいると言っていた。
透けてる人間なんてあり得ないから、幻覚か幽霊だと気が付いていたそうだ。それでもすごく怖くて、夜一人になるのを嫌がっていた。
その後、幽霊は見なくなったけど、幻聴が聞こえるようになったと言っていた。仕事で出かけているはずの俺の声が聞こえたと電話がかかって来たこともある。一人で家にいる時人の声がしたら、泥棒でも入ったかと不安になったそうだ。
それから、俺が何も言ってないのに、「今『死ね』って言った?」と聞いて来た。
「言うわけないだろ?」俺はびっくりして答える。
「言ったよ!」本人は俺が言ったと信じて疑わなかった。
「言ってないって。絶対言ってない。スマホ見てたし」
俺がテレビを見てるのに「今呼んだ?」と言って来ることもあった。
最近は幻聴が聞こえなくなったようだが、夜寝るとよく怖い夢を見るそうだ。自分が病院で死ぬ夢を見ると言っていた。死ぬってこんな感じなんだというのがわかったそうだ。
ゼリーに包まれているような感じだとか。
彼は我々よりも、あの世にちょっと近いところにいるのかもしれないと思う。
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