ぼっち
私はよく一人で賑やかな場所に行く。不思議なもので、年を取るとみな一人になるのが当たり前なのに、若いぼっちはかわいそうだと思われる。
私は50歳で身寄りがなく、天涯孤独だ。平日は働いているけど、休日はやることがない。家ではずっとネットを見ている。仕事の勉強でもすればいいのだが、気力がない。
YouTubeのドキュメンタリーで人生を語っている人たちがいるけど、女性で今まで彼氏なしの人は誰もいなかった。私は若い頃はわりと綺麗だと言われたのに、なぜかずっと一人だった。ナンパされることもないから、賑やかな所にいてもずっと一人だ。私はそういう所にいても、人を眺めているわけではない。なぜか、人の多いところは落ち着くのた。普段は誰も声をかけて来ないが、もし、ここで倒れたら誰か助けてくれるだろうと思う。
世の中、人の役に立ちたい人が多いからだ。ただ、思うのは、みんな誰かがいるのに、何故自分には誰もいないのかと言うことだ。今まで、男の人とデートしたことが一度もない。男でそういう人はいるかも知らないが、女でそんな人は滅多にいないと思う。
私はぼんやりと通り過ぎる人を眺めている。そこにいる、私の佇まいは、いかにもかわいそうなんじゃないだろうか。
先日、フードコートに一人でいたら、小さな女の子が空の紙コップを私の前に置いて行った。水飲めば?ということかと思ったが、ケチャップで汚れていた。その時は意味がわからず凹んだ。
今日もフードコートにいた。家族連れで賑わっていた。私の隣が空いていて、40代くらいのお父さんと息子が座った。しかし、私のことを見て、席を変えてしまった。なぜかわからない。私のどこが悪かったのか。
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今日、中学生の息子とショッピングセンターに行った。施設が広すぎて、歩き疲れてしまったから、フードコートでやっと座ることができて、ほっとしていた。
すると、隣のテーブルにホームレスのおじさんが座っていた。テーブルの上を見ても、何も注文していない。ロン毛のカツラを被って、ミニスカートをはいていた。臭いがきついので誰も近くに座らないから、テーブルが空いていたのだ。混んでるのに、迷惑だと思った。
顔を見ると、それほど年を取った感じでもない。まだ、働けると思うのだが。心の病気だろうか。
「やっぱり、あっちにしよう」
俺は席を立った。
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