地下のトイレ(実話)

 *汚くはありませんが、食事中の方申し訳ありません。


 先日、都内某所に行った時、急にトイレに行きたくなった。恥ずかしながら、大の方だった。別に今にも洩れそうというほど緊急でもない。しかし、大便はもよおした時に速やかに出さないと、しばらくすると便意が収まって、便秘になってしまうと聞いたことがあった。健康のことを考えると、便は毎日出した方が望ましいように思うが、実は便の回数と大腸がんの発生率に差はないようだ。要は、週2ー3回の排便でも本人が、出し切った感があれば問題ないとか。


 俺が行った地下のトイレは、廊下の先を曲がったところに、さらに短い廊下があって、奥に男子トイレ、女子トイレが並んでいるのだが、そこの廊下がすでに暗かった。男子、女子とも無人だった。俺はトイレに電気をつけて入るのが苦手だ。単にビビりで、もともと暗闇と閉所が怖いタイプなのだ。


 その地下トイレは、数十メートル先には通行人がちらほらいるような場所だった。危なくはないだろうと、俺は瞬時に判断した。トイレに踏み込むと電気がついた。設備が新しいから、照明はセンサー式だった。


 俺は恐々個室に向かったが、2個あるうちの1個が使用中だった。しかも、中からカサカサと音がしている。真っ暗な中、長時間何をしてるんだろうか・・・。今までセンサー式トイレでゆっくりしていても、電気が消えたことはない。会社のトイレがセンサー式だが、一度人が入ると30分くらいはついている。一般住宅の照明でもあるまいし、数分では消えないだろう。


 俺は怖くなって、そのままUターンしてトイレを出た。

 そして、数分歩いて別の人通りのあるトイレに行き、無事に用をすませた。


 あの人は何をやってたんだろうか。今考えると、何でもなかったのかもしれないが。多分、自慰行為をしてたのかもしれない。真っ暗なトイレで?怖くないんですか?

 もしかしたら、ホームレスだったのかもしれないし、暗い場所で一人になりたい人だとか、トイレで具合が悪くなっている、または、ドラッグをやっていたのかもしれない・・・そして、幽霊?


 いづれにしても、あのトイレには、しばらく行けないだろうと思う。




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