孤独(ポエム)

 一人暮らしで怖いのは、失業、病気、空き巣、火事なんかだ。

 俺はもう30年以上一人暮らしをしている。誰かと住んだことはない。

 自分が誰とも生活できない妖怪みたいな存在になっている気がする。

 偏屈でケチでしみったれている。


 それなのに、なぜか一人が怖い。

 理由はわからない。

 一人でいるのが好きで、どこへ行くのも大体一人。

 それなのに、これから、貧困層になること、ずっと一人なのが怖くなる。


 具合が悪くなった時に、誰も助けてくれない。

 頼る人がいない。

 痴呆になったら施設に入れられて、虐待されるんじゃないかというのも怖い。


 なぜだかわからない。金がなくても何とかなる。

 生活が立ち行かなくなったら、家を売って現金化し、その金がなくなったら、生活保護を受ければいい。貯金が残り十万円くらいになったら申請する。


 それでもなぜか怖い。

 一人というのは不安だ。

 誰かにすがりたい。

 男だから母性を求めるのか、優しい女性に傍にいてほしくなる。

 もし、女性なら、頼りがいのある男性を求めるのかもしれない。


 しかし、俺は誰にも出会えない。

 いつも一人の檻に入っているようだ。

 そして、俺の姿は誰からも見えない。


 俺は現実に生きていて、仕事もしている。

 それなのに、誰も俺に目を留めない。

 

 無視されることをみな恐れる。

 しかし、俺の場合は無視というより、存在すらスルーされている。

 俺はもう死んでいるのかもしれない。

 そう考えるのが一番しっくり来る気がする。

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