怪談話(エッセイ)
今日、ヤフーニュースで、1999年に亡くなった池田貴族氏が運営していたサイトが、今も閲覧されているという記事を読んだ。俺は心霊好きを自称しているのに、池田貴族氏のことは名前しか知らなかった。どちらかというと、ミュージシャンのイメージがあって、顔がなんとなくわかるくらいだ。
いや、実は忘れてしまっているだけかもしれない。心霊研究家としてかなり著名だったようなので、よくテレビで見ていたに違いない。しかし、記憶から完全に消えてしまっているんだろう。人の記憶はあいまいだ。まるで、なかったかのようにされてしまう。
同氏のホームページには、リンクがたくさんあって、小説のようなページもある。それを読むと、心霊好きは何十年経っても、昔から同じようなことをしていると、おかしくなる。俺もホラーだけを長年追い続けてきたわけではなく、折れに触れてやっぱり面白いなと思ってはまり、また忘れて行くというのを繰り返している。
ただ、20年近く前に書かれたものと思うだけで、より不気味さが増す。本人すら忘れているであろう、その作品がまた誰かに読まれて、日の目を見て、息を吹き返す。その人の潜在意識にダイブしているような気分になる。長年、人が訪れていない古い家を覗いているような心境。多分、最近の作品の方が完成度が高いし、面白いだろうけど、それでも見てしまうのは好奇心のせいだ。
ネットで検索して、池田貴族氏の写真を見てみたが、そういえば、心霊特集などのテレビに出ていた気がして来た。人の記憶はあいまいだ。平気で嘘が上書きされる。
それに、年とともに、まるで、おが屑のようにボロボロに崩れ去っていくのだろうと思う。
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