女風(エロ)
女風と聞いてピンとくる人は少ないんじゃないかと思う。女性風俗の略だ。女性風俗自体数がなくて、利用している人は多分ほとんどいないだろう。以前、客が女性の逆ソープの店が何件かあったけど、どれも数か月で潰れたそうだ。理由は、キャストの体力が持たないからだそうだ。わかりやすい。体を張るよりも、ホストをやった方が稼げるので、辞める人がかなり多いそうだ。
俺の知り合いで、女風を利用したことがあるという人がいた。名前はAさん。緊張しながら電話を掛けたら、年齢を聞かれて、39歳というと、ギリギリだったそうだ。その店は、30代までしか受け付けていなかった。それも随分失礼だが、希望した日に行けるのが1人しかいないが、その人でいいかと聞かれた。プロフィールに顔出しもしていない。まあいいです。と答えたそうだ。
当日、待ち合わせの部屋に向かった。
そこにいたのは、得体のしれない中年男。チェンジしたいけど、1人しかいないし・・・持って来た現金を渡した。嫌だなぁと思っていると、「シャワー浴びますか?」と聞かれた。声の感じからして50代のような気がした。
女性うけを狙っているのか、部屋にはアロマがたかれていた。
「肩揉んでもらえませんか?ちょっと肩凝ってるんで」
Aさんは仕方なく言った。
「いいですよ」
女性はベッドに腰かけて、男に肩を揉ませていた。
「結構うまいね。何で?」
「僕、マッサージのチェーン店で施術やってたんで」
「えー。そうなの?ラッキー。じゃあ、全身頼もうかしら」
その人はベッドに寝転がって、マッサージを受けた。
肩、腕、背中、腰、足、足裏までみっちりやってもらった。
「力加減どうですか?」
「ちょうどいい」
一通りマッサージが終わった後、男が言った。
「じゃあ、どうしますか。バスルームでマッサージしましょうか?」
これだけ上手ならいいかもとAさんは思った。
2人はバスルームに行って、鏡の前に立った。
やはり緊張する。
「あ」
後ろに立っていたのは、前に出会い系サイトで出会った男だった。
3回くらい会ったが、相手から連絡が来なくなってしまったんだった。
・・・あの感じ悪い男。
Aさんは、一瞬で気が付いたが、相手は気が付いていないらしい。
出張ホストをやるようなイケメンではなく、ごく普通の人。
営業のサラリーマンだったと思う。
多分、男は出会い系で地道に相手を探すより、セラピストになった方が楽で、お金ももらえると思ったんだろう。私が誰か気が付いてもいない。
何か仕返しをしてやりたい。
Aさんは考えた。
「挿入の裏オプってあるんですか」
「ありますよ。僕の場合は1万円」
4万も取るのか。その顔で。Aさんは思った。
「じゃあ、お願いします」
Aさんは照れながら笑った。
***
別れ際に、男は「また、お会いしたいなぁ」と笑顔で言った。
Lineにも、「平日、時間作るんでいつでも」と送って来た。
Aさんは可笑しかった。
そのまま警察に向かった。
今、男は強盗と強制性交罪で刑務所に入っているとか・・・。
自分を振った男への腹いせだけでなく、自分がまだ女として見られていることを世間の男に知らしめたかったんだろうと思う。俺はこの人と出会い系で知り合ったが、無理だった。その人を形容するとしたら、妖怪みたいだった。
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