単身赴任
配偶者が転勤になったら付いて行くか、というのは難しい問題だ。
子どもの学校の問題があるし、介護が必要な両親がいるかもしれない。
それに、奥さんが正社員で働いていたりしたら、仕事をやめなくてはいけなくなってしまう。
しかし、単身赴任中の旦那が浮気する割合が8割と聞くと、浮気されたくない場合はついて是非ともついて行った方がいいのかもしれない。
30代のサラリーマンAさんが転勤になった。奥さんはキャリアウーマンで仕事をやめたくない。子どもはまだいなかった。旦那さんが大阪で、奥さんは東京。毎週どちらかが行ったり来たりすればいいと思っていた。いわゆる週末婚だ。
旦那さんの方は月2回まで会社から手当てが出る。奥さんは自腹だ。奥さんは最初のうちは自腹で通っていたけど、そのうちお金がもったいないと思うようになって、行かなくなってしまった。旦那は月2回頑張って東京に行っていたが、大阪まではドアツードアで3時間ちょっとかかった。それでも、旦那は新大阪に住んで、東京の家も地下鉄沿線だったからまだましな方だった。
旦那にとって月2回東京に行くのはかなりの負担だった。金曜の夜に家を出て、その日の深夜東京の家に着く。土曜日は1日ゆっくりしても、日曜はまた大阪に戻らなくてはいけない。1日有休をつけて3連休にして、月1回だけ行くようになった。そんな生活だと、夫婦の間に溝が生まれてしまう。
奥さんは、何となく旦那が浮気をしてるんじゃないかと思うようになった。
それで、いきなり大阪に尋ねて行くことにした。旦那のマンションの合鍵ももらっていたから、浮気現場に突撃することも可能だ。
奥さんが旦那の部屋に行くと、出かけていて留守だった。気まずいなと思いながらも、部屋を片付けたり、冷蔵庫の中を見て料理を作ろうと思っていた。旦那は1DKのベッドルームとキッチンしかない単身者向けの間取りに住んでいた。
入った瞬間、きれいに片付いていたのに驚いていた。もともと家事をまったくやらない人で、放って置いたらごみ屋敷になってしまいそうな感じだったから、片づけてくれる人がいるんだと思った。しかも、その女は一緒に住んでいたようだ。洗面台には、ピンクの歯ブラシが置いてあって、女性用の基礎化粧品も置かれていた。シャンプー、リンス、ボディソープなんかも女性用の物が別に買いそろえられている。脱衣室にはブラジャーや下着なども干してあった。
2人は不倫関係だろう。奥さんは確信した。クローゼットを見ても、布団はないし、ベッドに一緒に寝ているんだ。もともと、奥さんが泊まりに来た時のために、ダブルベッドを入れていたから、2人で寝られるスペースはあった。そして、引き出しにローションやラブグッズなどもあった。奥さんは自分と一緒にいる時より、羽を伸ばして楽しく暮らしていると知り、さらにショックを受けていた。
その日の夜、夫は帰って来なかった。
奥さんはこのまま待ってみて、相手の顔を見てやろうと思った。
すると、日曜日の夜、ようやく旦那は女を連れて戻って来た。
玄関に入ると2人は「やっぱり家の方が落ち着く」、「また行きたいね」と話していた。相手の女性はかなり年上のようだった。60代のような感じだった。
奥さんは暗がりに1人で待っていた。すると、2人は仲良くシャワーを浴びているようでなかなか部屋に入って来ない。
それでも、奥さんはじっと座って待っていた。
それから、2人はパジャマ姿で部屋に入って来たのだが、そこで鉢合わせたのは、義理の母親だった。お母さんはブラジャーにパンツ姿だった。夫もパンツだけ。
知らない間に、夫は義母と同居していたのだった。
義母は夫に先立たれていて、夫が学生の頃からすでにシングルマザーだった。
あ、この2人ってできてたんだ・・・。
もしかして、ずっと前から・・・。
その瞬間、奥さんは離婚を決意した。
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