動物の墓
俺が子どもの頃、親は色々な動物を飼っていた。セキセイインコ、犬、猫、金魚なんかだ。母親はずぼらな人で、あまり掃除をしてなかったから、インコの籠は床にうんこがタワーになっていたし、犬小屋の周りも糞だらけ、金魚の水は臭くなってから変えるような感じだった。
何度か野鳥を捕まえて飼ったこともあったが、餌が合わないのかすぐに死んでしまった。野鳥を飼うのは許可がいったと思う。本当は違反行為だ。
何で動物を飼おうと思ったかは知らない。子どもの情操教育のためか、命の大切さを学ばせるためかは知らない。
動物たちはみんな死んでしまった。これを読んだ人は軽蔑するかもしれないけど、動物が死んで悲しんだ記憶がほとんどない。
理由は俺に懐いてなかったことと、家が荒れてて、動物のことが意識にのぼる余裕がなかったんだと思う。今だったら、もっと可愛がってやりたかったし、散歩に連れて行きたかった。
俺の実家は一戸建てだったから、動物の死骸は全部庭に埋めた。至る所が墓だらけだった。セキセイインコは10羽以上いた。何羽かは猫にやられてしまった。金魚も猫の犠牲になった。ネズミ捕りに引っかかったネズミの死がいも同様だ。うちの庭は動物の共同墓地のようなものだった。最初は木の枝や割りばしで十字架を立てていたけど、そのうちどこかわからなくなってしまった。
その土地はもう分譲されて、新しい家が建っている。動物の骨は今もその土地に埋まっているんだろうか?掘り返されて粉々になって、土に混じっているだろうか。
うちの実家の庭は広くて、真ん中に道を作って六軒に分割された。犬は結構大きいと思うのだが、今はどうなっているんだろう。
元実家の側を通る時は、こっそり手を合わせている。
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