超能力(エッセイ)

 俺が中学生の頃のことだ。ホラーとかオカルトが好きな友達がある本を持っていた。表紙に空中浮遊をやっている写真が出ているやつだった。雑誌の読者プレゼントでもらったと言っていた。今思うと、あれはオウム真理教の本だった。表紙は教祖だったかもしれない。オウムがいつから有名になったのかわからないけど、昔は新興宗教の一つの扱いで、超能力を全面に出していたような印象がある。友達は持病があって、俺が想像していた以上に悩みが深かったんだろうか。あの後、彼がどうなったか心配だけど、今は音信不通になっている。


 超能力に惹かれる時の心理はどんなものなんだろうか。不安で何かにすがりたい状態のだろうか。俺がまさにそんな感じだ。


 俺は先日YouTubeで、冝保愛子さんがインドのサイババに会いに行くという、今思うと豪華すぎる特番を見ていた。サイババにすっかり魅了されてしまった。当時からサイババは日本でも有名だったが、2011年の4月に亡くなっている。

 

 今10代の人なんかはサイババをよく知らないかもしれないが、インドでは聖人のように考えられていて、亡くなった時は国葬になったほどだ。手から灰やはちみつのような液体を出したり、ジュエリーや仏像を出して信者に与えたりと奇術のようなことをして人々を驚かせた。彼の場合は、マジックだと言われているが、慈善事業を数多くやっていて、その点では比類なき人物だったと言われている。無料の病院や大学を開設し、水道設備の敷設などを行ったそうだ。


 もし、彼が生きていたら俺もインドに行ってみたかった気がする。2000年頃にはテレビでもよく取り上げられていて、日本にもファンが多かったが、気が付いたら亡くなっていた。東日本大震災の報道が盛んだった時期とかぶっているので、日本のテレビもそれどころではなかったのだろうと思う。


 俺は霊はいるけど、超能力は存在しないと思っている。

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