昆虫食
俺が子供の頃、父親がイナゴの佃煮を買って来て食べていた。
甘辛く似ているんだけど、イナゴが姿が気持ち悪くて、どうしても食べられなかった。食わなかったら殺すと言われたら食べるけど、10万くれると言われても食えないだろうと思う。
これは人から聞いた話。
昔、小学校高学年の意地悪な男子が数人集まって、近所の小さな子たちを虐めていた。遊ぼうと言って、子どもを集め一緒にままごとをしていた。そして、お椀に芋虫を入れて、お菓子だと言って食わせていた。小さい子はわからずに食べてしまう。
昆虫というのは大体食べられるものらしい。幼虫などで毒を持つものはほとんどおらず、成虫で毒があるような物でも取り除くと食べられるものが多いらしい。
だから、その子たちも虫を食べた後、具合が悪くなったりもしなかった。
しかし、子どもたちが小学校に入ると、幼い頃に虫を食べさせられていたことに気が付いた。後から考えても腹が立って仕方なかったから、みんなで、仕返しをすることにした。
バレンタインデーにチョコレートをあげることにして、ナメクジやミミズなどの虫と煮詰めてドロドロしたものを、チョコレートに混ぜて固めた。気持ち悪くて味見はできなかったが、見た目はおいしそうに見えたらしい。
当日、子どもたちの中で特にかわいい女の子が渡すことに決まった。意地悪な子はもう中学生だったけど、そっけない顔をしていながら、にやけているのが分かった。昔は、すごくモテる男子以外、チョコレートをもらうことなんてなかった。だから、小学生からもらっても嬉しかったんだろうと思う。前に虐めてたことなんてすっかり忘れていた。
「手作りなの。ちょっと食べてみてもらえない?」
「うん」
その子は箱を開けて1個食べた。
「変わった味だ」
「おいしい?」
「うん」
「よかった。全部食べてね」
それから毎年、チョコレートを渡すのが恒例になっていたそうだ。
それは、子どもたちの気が済むまで続いたとか・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます