スクールカースト

 最近の学校はスクールカーストというのがあるそうだ。

 そんなの誰もが知ってると思うけど、想像以上に厳しい階級社会らしい。

 知り合いの中学生が言ってたけど、スクールカーストのない学校はないそうだ。それに、カーストの順位は学校によって違うとか。


 ある学校の例だと、カースト上位の女子は、かわいくて、男女の友達どちらも多くて、運動神経がよくて、勉強がそこそこできる子。完全なバカはダメとか。

 男は顔がよくて、運動部、コミュ力が高いやつ。


 嫌な時代だ。陰キャでコミュ力ない俺が、今中学生だったら、スクールカースト最下位辺りをうろうろしていただろうか。


 今の学校はスクールカーストありきだから大変だ。

 かわいくない子はのと同じで、男子に話しかけてももらえないそうだ。

 昨今の男子中学生は、随分、思いあがってるなと呆れる。


 50代のおじさんから見ると10代の女の子は全員かわいい。だから、もっと自信を持ってほしい・・・。これを10代の子が見てるわけないか。


 これはネットから拾って来た話だ。


 主人公は中2の沙彩さあやちゃん(仮名)としとく。

 沙彩ちゃんは学年で一番かわいいと言われていた。

 痩せていてスタイルもいい。

 他のクラスの男子が教室に見に来るレベル。


 明るくて男女ともに友達が多い。

 運動が得意で、勉強もそこそこ。

 家もまあまあ金持ち。

  

 学校中の男子から告白されていた。

 

 実は小学校の頃、沙彩ちゃんはもて過ぎていじめに遭っていた時期があった。

 だから、中学からは私立に通うようになった。過去の辛い経験を踏まえて、できるだけ目立たないようにしていたらしい。天狗にならないように・・・、悪目立ちしないようにと気を付けていた。


 アイドルなんかも子供の頃はいじめに遭っていたというケースが多い。

 例えば、サッシーやしょこたん、吉木りさなど。かわいいから、周囲のやっかみでいじめに遭っていたんじゃないかという気がしてならないが、本人にとっては深刻な悩みだ。

 

 同じクラスに、真苗まなえちゃん(仮名)という子がいたそうだ。その子もかわいいと言われていたが、同性からは嫌われていた。


 真苗ちゃんはと沙彩ちゃんは、全然仲良くなかったが、真苗ちゃんが時々話しかけて来たそうだ。そして、仲のいいふりをする。沙彩ちゃんは嫌がっていた。


 沙彩ちゃんは、自分のことをと呼んでいた。

 イラっと来る人もいるかもしれないけど、仕方がない。


 真苗ちゃんは普段自分のことを、「わたし」と呼んでいたのに、沙彩ちゃんがいないところでは、自分を「は」と名前で呼ぶようになったらしい。

 こんな話を沙彩ちゃんは、取り巻きの友達から聞いた。


 スクールカースト1位の子と一緒にいると、自分も輝いているように思えるのか、沙彩ちゃんの周りにはいつも人が集まっていた。


 真苗ちゃんは、カースト1位の沙彩ちゃんをますますマネするようになっていた。まず、持ち物。好きなキャラクターを真似るのは、お約束で、好きなアイドルも一緒ということだった。沙彩ちゃんが好きだったのは、キンプリの平野紫耀。真苗ちゃんも平野紫耀が出ている番組を見て、学校でその話をする。真苗ちゃんの周囲にも人が集まり始めていた。


 最悪だったのは、真苗ちゃんが同じ部活に入って来たこと。

 沙彩ちゃんはダンス部だった。

 でも、ダンス部は一番人気があって人数が多かったから、いつも一緒にいなくてよかった。


 沙彩ちゃんはもともと好きでスクールカースト1位になってたわけじゃないから、気にしないようにしていた。


 すると、しばらくして、沙彩ちゃんの好きな人は「隣のクラスの賀川君」という噂が流れた。沙彩ちゃんの好きな男子は同じクラスの佃君で、仲のいい子はそのことを知っていたのに。佃君はクラスで一番人気の男子。二人は両想いじゃないかと言われていた。


 佃君は沙彩ちゃんに好きな人がいると知って、諦めようと思っていた頃に、真苗ちゃんにLineで告白された。佃君は彼女が欲しかったから2人は付き合うようになった。佃君はバスケ部。毎日練習があるから、2人は日曜日だけデートしていた。


 シッピングセンターに行って映画を見たり、フードコートで喋ったりするだけだけど。それでも若い2人には楽しい。


「沙彩ちゃんってああ見えて結構意地悪なんだよ」

 真苗ちゃんが深刻そうに打ち明けた。

「へえ・・・」

「私の方がダンスがうまいからって、練習の時、邪魔してくるの」

「そうなんだ。性格悪いね」

「うん。沙彩ちゃんって友達が多いじゃない。だから、私ダンス部で仲間外れにされてて」

「そうなんだ・・・嫌な奴だね」

「クラスでもにらんでくるし・・・」

 

 佃君の沙彩ちゃんへの印象はどんどん悪くなっていった。それで、佃君も沙彩ちゃんの悪口を男子に言いふらして、それからクラスの風向きが変わってしまった。男子が沙彩ちゃんに話しかけなくなると、それに合わせて女子も、次第に距離を置くようになった。それまで沙彩ちゃんがスクールカースト一位だったことで、みな不満を持っていたから、次第に話しかけないようになっていった。


 沙彩ちゃんはまたいじめに遭ってしまったと落ち込んだ。そして、教室に入れなくなってしまい、保健室登校するようになった。真苗ちゃんが今は沙彩ちゃんの位置にいる。みんなが真苗に気を遣い、媚びる。それを見て、男子は真苗は性格が良くて好かれていると思っている。


 沙彩ちゃんは勉強も手につかなくなり、高校は通信制に進学した。対人恐怖症になってしまい、ほとんど外出できないとか。真苗ちゃんは成績が良かったので、もっと偏差値の高い高校へ進学した。勉強のできない佃君はそのまま付属高校へ。二人は別れた。


 真苗ちゃんはきっと自分が性格悪いことに気が付いてない。

 真苗の世界では、多分、自分は性格良くて人から好かれて、勉強もできて完璧。と、なっているんだろう。

 いつか罰が当たればいいと思う。

 

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