死後の手紙(エッセイ)

 最近、死後の手紙について何本か小説を書いてみた。


 差出人が手紙を書いて、その後、届くまでに亡くなってしまった場合。

 死後に手紙が届くように、誰かに託していた場合。この場合でも、受け取った人が差出人が亡くなっていることを知っている時と、知らない時がある。


 例えば「この手紙を読んでいる頃には、僕はもうこの世にいないと思います」というのもあるだろう。こういう手紙をもらうのは辛い。


 これは有名な話だと思うけど、漫画『BLEACH』の作者久保 帯人さんがファンから死後の手紙をもらい、漫画の完結後にTwitterで差出人を探していたということがあった。差出人のない封筒。送ったのは余命1年半の少年だった。


 少年は手紙の中で、闘病中『BLEACH』が生きる希望を与えてくれたこと、自分が亡くなった後も、先生が望む作品を書き続けることを望んでいた・・・。もう自分自身が作品を読むことができなくても。


 当時、作者は体調を崩していて、連載をやめるべきか真剣に悩んでいたが、少年の手紙が創作への活力となって、無事に思い描いていた通りの最終回を迎えることができたそうだ。実は手紙を受け取って最終回までに、何年もかかっている。その間だって具合の悪い時期があったと思うが・・・精神的な支えによって、成し遂げることができたのだ。

 

 小説を読んでいて、こんなに心を揺さぶられることはない。やはり実際起きたこと以上の驚きはない気がするんだ。俺の頭の中で、フィクションだというバイアスがかかってるからだ。


 余計なことは書かないでこれで終わりにする。


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