ジェンダー(実話)(おススメ度★)

* 一部残酷な表現があります


みなさんは自分の性別について考えたことはあるだろうか。

 なぜ、男なのか。女なのか・・・。

 ジェンダーというのは社会・文化的な性別で、生まれながらの性別とは別の概念だ。


 俺は自分の性別について考えたことが全くない・・・。

 思考の浅い人間だからかもしれない。

 もし、女に生まれたら生まれたで、主婦になったりとそれなりにやっている気がしている。


 しかし、仮に男の体で女として育てられたら・・・男が女装しているような異世界転生でもない限りは、違和感を覚えるだろうと思う。女として育てられている事情にもよるが、男になろうと奮闘するかもしれない。


 それに対して、女が男の子のように育てられたとしても、男ほどには違和感を感じない気がする。ボーイッシュな女の子は、男女どちらから見ても魅力的だし、女は化粧したりすればすぐに女らしくなれる。それに対して、女のように育てられた男は、オカマと呼ばれていじめられ、女ほどすぐに男社会に適応できない気がする。


 カナダにデイヴィッド・ライマーという男性がいた。

 彼は一卵性双生児だった。

 赤ん坊の頃、割礼手術(包茎手術)を受けたが、医療事故で陰茎の大半を失ってしまった。カナダの割礼手術については知らないけど、アメリカでは宗教に関係なくほとんどの子が受けるものらしい。歯の矯正くらい一般的なものだとか。

 ちなみに今はかなり減っているものの、新生児の55%くらいが受けるそうだ。


 息子の将来を悲観した両親は、心理学者のジョン・マネーという人に相談した。マネーは、性差は後天的に割り当てられたものだという主張をしており、歴史的な男女の役割を批判していたそうだ。男児でも女として育てれば、自身を女と認識するようになるという考えだった。男性としての機能を失ってしまったデイビッドの人生を考えると、女として生きていくという選択はアリだったのかもしれない。


 マネーは自身の理論を実証するために、デイヴィットの残っていた陰茎、睾丸を切除して女性として育てることを勧めた。親はそれを受け入れて、1歳10か月でデイヴィットは去勢手術を受け、以降は女の子として育てられたそうだ。双子の1人は男なのだが、デイビッドは女の子の服装と遊びを強いられた。


 もしデイビッドが性同一性障害を持っていて、自身を女だと認識していたら、これでよかったのかもしれない。


 しかし、本人は自分を女とは思ったことはなく、14歳の時には男に戻ったそうだ。彼は勇気があったと思う。写真を見ると、イケメンでアメリカのハイスクールの人気者みたいな感じの人だった。その体で男として生きていくのは、かなり過酷だったんじゃないかと想像する。

 

 その後、結婚もしているが、39歳で自殺してしまった。

 原因ははっきりしないが、夫婦関係の破綻や仕事での失敗があったようだ。


 手術に失敗したとしても、そのまま性器を残していれば、自身の子供をもうけることができただろう。彼の場合は一卵性双生児だったこともあり、心理学者の仮説を証明するには格好のサンプルになってしまった。


 性同一性障害の子を育てる際も同様で、親が性別を選択するのは誤りだということだろう。彼は親が子供の性別を選択するという過ちを繰り返さないために、自身の生い立ちを公表したようだ。彼の意思を無駄にしないためにも、我々の意識を変えて行くしかないだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る