生まれ変わり(おススメ度★)

 これは人から聞いた話だ。


 30代のAさん夫婦には一人娘がいた。

 その子が小学校3年の時、事故で突然亡くなってしまった。

 放課後に、友達と公園に行こうとして自転車に乗っていた時に、車にひかれてしまったそうだ。


 夫婦は自宅の1階で洋食のレストランをやっていた。あの時、公園に行かせなければよかった。どちらかが付いて行っていれば・・・と、夫婦は嘆いた。悔やんでも悔やみきれなかった。


 2人はお店のお客さんから、『娘さんは気の毒でしたね』などと言われることに耐えられなくなって店を畳んでしまった。旦那さんはよその店で働き、奥さんは飲食に関係ない仕事をするようになった。


 娘さんが亡くなって1年ほど経った頃。


 Aさんの夢に娘さんが出て来た。

「パパ。どうしてお店やらないの?私、パパのお店好きだったのに」

 と、言ったそうだ。

「ごめんね。またやるから、待っててね」

 Aさんは泣きながら謝った。そして、目が覚めてから、その話を奥さんにした。そして、2人はまたお店をやることにしたそうだ。


 お店を再開して、半年くらい経った頃、また夢に娘さんが出てきた。

すると、「パパ。明日お店に行くからね」と言ったそうだ。


 Aさんはその話を奥さんにした。

 2人は朝からそわそわして、娘が来るのを待っていた。

 娘がドアを開けて入って来るような気がして、客が来る度、急いでドアの方を見た。

 しかし、いつまでたっても娘は来なかった。


 2人は、娘は幽霊だから、きっと目に見えないんだと思った。

 自分たちには見えないけど、どこかの空いてる席に座ってるんだ。

 客がいない時に、娘が好きだった料理をテーブルに置いて、話しかけた。


「一番好きだったのを作ったよ。でも、天国ではもっとおいしい物を食べてるのかもなぁ」 

 と、Aさんは言った。


 やがて夕方になって、週1回は寄ってくれる常連の客が入って来た。

 その時、足元に猫がまとわりついて、一緒に入って来た。


「あ、猫、入って来ちゃった」

 常連さんが慌てて足で追い出そうとするので、奥さんは走って行って「それ、うちの猫なんです」と言って抱き上げた。


 どんな猫かは知らないけど、それが今もそのお店にいるということだ。

 ただの偶然なのか、女の子の生まれ変わりなのかは誰もわからない。

 夫婦はその猫を、わが子としてかわいがっているそうだ。

 

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