コタツでも背中は寒い
御厨カイト
コタツでも背中は寒い
「……うぅう、最近凄く寒くなったね……。」
目の前にいる楓は、身震いをしながらそう言う。
「確かに、ホント冷えてきたね。……エアコンだけじゃ流石に耐えられなくなったから、そろそろコタツ出そうか。」
「あ、ホント?手伝おうか?」
「いや、大丈夫。楓は座ってて。」
俺はよいしょと立ち上がりながら、押し入れへと向かう。
確か、ここに仕舞ったはず……
そう思いながらガサゴソと探していると、あった、コタツ。
また、よっこらっしょとそのコタツを持って、リビングへと運ぶ。
そして、電源を付けて、コタツが温まるのを待つ。
「まだ温まってないかな?」
「うーん、多分。もうちょっとしたらじゃない?」
「……そうみたい。」
「……その顔はまだ冷たかったみたいね。」
そんな事を言いながら、待つ。
「もうそろそろかな?」
「どうだろう、入ってみたら?」
「……おっ、温かいよ!隼も入ってみて。」
「そうする。」
おっ、ホントだ、温かい。
エアコンだと空気が温まるけど、コタツだと入っている体がピンポイントで温まる感じがして、何か良い感じ。
「どう楓?体温まった?あ、これ蜜柑ね。」
「お、ありがとう。……うーん、確かに温かいけど、まだ背中が寒いかな~、なんて……えへへ……。」
楓は蜜柑を持ちながら、苦笑いをする。
その様子を見て、俺はあることを思いつく。
スッと立ち上がり、楓の方へ。
「ん?どうしたの?」
そして、背中側に回り、まるで楓をバックハグをするかのようにして、コタツに入る。
「えっ!?しゅ、隼!?」
驚きながら、ポトリと手に持った蜜柑を落とす楓。
「どう?背中温かい?」
耳元でそう言う。
顔が赤く染まって来て、可愛い。
「え、あ、うん、温かい、よ……?」
「そう、なら良かった。」
ふぅと息を吐き、楓の肩にポンと顎をのせる。
「まだ、ここにいて良い?」
「……うん、やっぱりまだちょっと寒いから、居て?」
その言葉を聞いて、俺はそのままキュッと抱きしめる。
そうして、もう十分なぐらいに温まったと思うが、俺らはまだまだコタツで温まり続けるのだった。
コタツでも背中は寒い 御厨カイト @mikuriya777
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