フードプロセッサー宣伝のついでに

「フードプロセッサーの切れ味を試すために、あえてこちらを使いたいと思います」

 商品宣伝の撮影中に真由美が取り出したのは、高級そうな腕時計だった。

 気品ある輝きを放つ時計を、彼女はプロセッサーに入れてしまった。


「それではスタート!」

 プロセッサーが強烈なうなりを上げ、時計は無抵抗のままに砕かれる。

 あっという間に細かい鉄クズになってしまったのだ。

 彼女はまな板にプロセッサーをひっくり返し、鉄クズを見て微笑む。

 そして誇らしげにこう言った。


「夫に浮気されたくやしさも、粉々にしてくれるほどの切れ味ですね。気になった方は、ぜひお買い求めください」

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