天気くじ

「さあて、明日の天気はどうなるかな?」

 天界にて、ウクと呼ばれる青年が誇らしげに語った。

 彼の手前には、下界でよく見るような回転抽選機的なものがある。

「この箱から飛び出す玉の色が、明日の天気を決めるのだ。さあヘルメス、やるんだ」


 ヘルメスはウクに促されるままに、箱の取っ手に手をかけ、回した。中から赤い玉がこぼれた。

「どうやら下界は、明日も快晴のようだな」

「またですか。もうずっと快晴が続きすぎて、干ばつが起きているところもある。まさか破壊の謀略か?」

 ヘルメスは箱を横倒しにして、フタになっている側面を開いた。

「赤しか入っていないじゃないか。この破壊者め!」

 ヘルメスは指先から雷撃を起こし、ウクを倒した。続いて怒り任せに地面を叩くと、四方へ稲妻が走った。

 その結果下界全域でひどい夕立が起き、干ばつはひとまず解決した。

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