あったまりたい

 火だるまになってもいいからあったまりたいと思うほど、この日は寒かった。

 無慈悲なぼたん雪が、大粒になって降り注ぐ。

 電気代が払えずにエアコンを止められた私にとっては、地獄の日だ。


 ふと大型スーパーが目に入る。

 しかし何も買わずにずっとうろついていたら、不審者に思われかねない。

 何とか人目につかない状況であったまりたいと思った。


 私はいてもたってもいられず、大型スーパーの駐車場に入っていく。

 徒歩でだ。

 駐車場の2階まで上がると、少しだけだが寒さがマシになった気がした。

 だが空気が冷たい状況に変わりはない。


 私は周囲に人がいないのを確かめると、とある赤いSUVが止まっているのに目をつける。

 そいつの後部にある給油口の前に立ち、ひたすらそれを見つめ続ける……。

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