スマホ鬼

 小学5年生の修太が、いつものようにスマホゲームを始めようとしたときだった。

 アプリを開くとゲームの画面に変わるはずが、いきなり真っ暗になる

 スマホの上部から、小さな2本の角が生えてくる。ちゃんと黄色と黒の縞模様だ。


 画面全体が、赤鬼のどアップの顔で埋め尽くされる。


「このサボリ魔~、勉強しろおおおおおっ!」

「ひいっ、ごめんなさあああああいっ!」


 驚いた修太はスマホを床に捨て、あわてるように宿題に取りかかった。


 彼の母である美恵子が、部屋の陰からこっそり見ている。

 彼女は自身のスマホから口コミサイトを開き、修太が持っている機種のページにコメントを書いた。


「宿題をしないと遊べない『スマホ鬼』機能、効果てきめんです。おかげで息子もスマホにはまりすぎず、ちゃんと勉強をしてくれそうです。商品を届けてくれて、本当にありがとうございました」

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