自分で仕分けるゴミ箱

 公園のゴミ箱に空っぽのペットボトルを捨てたら、いきなりそれがポンと跳ね上がり、砂地に落ちた。


「私は燃えるゴミ専用です」


 いかにも機械的な声で、私をたしなめてくる。ムッとしたけど、素直にペットボトルを拾い、隣のゴミ箱に捨てる。

 そしたらまた中からペットボトルがポンと跳ね上がり、砂地に落ちた。


「私は燃えないゴミ専用です」


 そのゴミ箱も、機械的な声でペットボトルを拒絶した。

 とうとうここは人間ではなく、ゴミ箱自体がゴミを仕分ける世界になった。

 おかげで2つのゴミ箱の周りには、僕のペットボトルに限らず、拒絶されたゴミたちが散乱しているが。

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