透明人間になった野中莉音(りおん)
野中莉音(りおん)の時代は、防犯技術がすさまじく進んでいた。
そんなときに莉音は、透明になれるローブを着こんだ。
見た目は透明で、着た本人は頭からつま先まで姿が見えなくなる。
完全に景色に溶け込めるのだ。
「よし、これで問題ないな」
莉音の声だけが聞こえて10秒ぐらいあとに、扉だけが開いて閉じた。
銭湯はいつもと変わらない様子で、お客さんが行き交っていた。
風呂上がりに牛乳を飲んだり、マッサージ機を動かして体をほぐしたり、広間でテレビの相撲に熱中したりなど、いつもと変わらぬ風景だ。
次の瞬間を除いては……。
「うわああああっ!」
突如銭湯の出入り口にある床の一部が、パタンと下向きに開いた。
誰もいないはずなのに男の悲鳴だけが響き、奈落の底へ消えたのだ。
静まり返った施設内で床が閉じ、店番の男性がつぶやく。
「あーあ、またどうしようもない変態か」
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