第3話 作戦会議(強制参加)
何も進展がなかった明くる日の火曜日の放課後。空き教室に3人の生徒が険しい顔つきで座っていた。
話し合いも進展がなかったわけではないが、今までの依頼と比べると明らかに遅い。それもそのはず、ラブコメ部は5人の部員がいるが、3人しか集まっていないからだ。呼びたくても呼べない状況ができてしまっているのだ。
これが、今回の依頼の特殊なポイント。
依頼者である、
ラブコメ展開が意図的に起きたことを双方ともに知ってしまったら、それはもう、ただのイチャイチャである。
よって、友一には伝えることができないので必然的に一年生メンバーだけで依頼を遂行することになってしまった。
「さて、どうする?」
空人は依頼者のためにもと、自分に喝をいれ再度意見をまとめることにした。
「今のところの有力候補は『屋上で一緒にお弁当を食べて仲良くなっちゃおう★』だけど、末田と光輝は何か意見とかある?」
「特にはないかなー」
「俺も★以外はそれでいいと思う」
「オッケー。異論なしね」
空人はさらっと光輝を無視して、会話を進める。
「俺らがやるべきことは主に3つ。一つ目は、屋上のカギの入手。これをやんなきゃ始まらない。二つ目は、依頼者が友一先輩に誘うときに他の生徒に気づかれないようにすること。そして、三つ目は友一先輩にそれとなくお弁当を作らせることだ。あの人、確かいつも購買でメロンパン買ってるだけだから」
「はい、しつもーん!三つ目いらないと思います。購買のパンでよくない?」
それを聞いた空人ははぁぁと大きなため息をついて、花に
「いいか、末田。ラブコメではな男女がきゃっきゃしながら食べるのは手作り弁当と相場で決まってるんだ。お前が言っているのは、『アンパンマンの顔ってアンパンじゃなくて、メロンパンでもよくな~い?』って言ってるようなもんだぞ!」
「あぁ、うん。なんかごめんね」
「まぁ、それはいいとして他の二つはどうするんだ、空人。特にカギのほう」
「そこが問題なんだ。今のところ考えてるのは、表の顔は優等生な花に借りてもらうことだけど」
「『表の顔』?なにいってるの、空人?」
「ごめんなさい。何でもないです。忘れてください。ゆーとーせーの末田さん」
「まぁ、そのぐらいはやるよ。まかしときな!あっ、空人は後で廊下来いよ」
そんな会話をしていると、突然ガラガラガラっと閉まっていたドアが開き、生活指導の先生が入ってきた。そして、一言。
「おまえらぁ。泣きたくなかったら、とっとと出てけ。空き教室の使用は禁止だ。次、見つけたらその時は覚悟しとけ」
思わぬ部外者により作戦会議は強制中断した。
忘れてはいけない。ラブコメ部は非公認である。
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