12.5話 目撃
梨里杏side
ー昼休みー
私は、碧斗君に先生から頼まれごとがあると言って屋上を出た。
でも、それは嘘...
放課後に碧斗君が買い物に行くだけなのか、私は不安になってしまった。もしかしたら私に嘘をついて他の子と遊んでいるかもしれない...そんなことを考えていると居ても立っても居られなかった。
スマホを取り出し、ある人に相談するためにNINEを開いた
「あの...唯に聞きたいことがあるのだけどいいかしら?」
「おっ梨里杏からNINEが来るのは珍しいねっ!いいよ何でも言って、私が答えてあげるから!」
「ありがとう。それでは、碧斗君を尾行したいんですがどうしたらいいでしょうか!?」
唯のNINEにそう打ち込んで送信するといきなり電話がかかってきた。なぜ電話がかかったのかわからず首を傾げた。
「えっ!何...梨里杏いきなりどうしたの!?」
「何って?そのままの意味ですわ。私は、碧斗君を尾行したいの」
「えーっと...何でそんなことになったのか経緯を教えてもらえる?」
今日の昼休みの最中にあったことを私は包み隠さず唯に話した。すると唯は、歓喜の声音で話し始めた
「私達の考えた計画成功したんだね!碧斗の顔赤くなってた!?」
「はい...なってましたよ...私も一緒にですけど...って!今は、碧斗君について相談したいの!」
「そうだったね。...梨里杏、私個人としての考えだけど流石にそれは無いんじゃないの。親に買い物頼まれるぐらい、誰にだってあるでしょ」
「そうですけど...でも何か引っかかるの。さっきの碧斗君、私に何かを隠しているような感じでしたし.......私気になります...やっぱり尾行しますわ!」
「梨里杏が尾行するなら私も一緒に行ってあげる。もしも、碧斗のことをつけてたのがバレても二人で遊んでるって言えば誤魔化せそうだし!」
「確かにそうですねっ!それでは放課後お願いしますわ!」
「おっけー!!」
私たちは、碧斗君を尾行するという約束をし電話を切った。
●
放課後。碧斗君が教室から出ていくのを確認した私たちは、尾行を開始した。
碧斗君は、走りながら何処かにに行こうとしていた。それに対し私たちは、物陰に隠れながら碧斗君の跡をつけた。
そして、何事もなく碧斗君の尾行は成功し到着した場所は、この町で一番大きいモールだった。
「ここってモールじゃんっ!一階には、食品館があるし晩御飯の買い出しを頼まれただけだよ!」
「そうよね。碧斗君疑ったりしてごめんね...」
私は、手を合わせ小さな声で碧斗君に謝った。
碧斗君の疑いも晴れたことだし、さっき来た道を戻ろうとすると唯が明るい顔して私のことを見つめてきた。
「ねぇーせっかくここまで来たんだし、何か食べてかない?」
「私、友達と一緒にこういう所いくの初めてで、、何も分かんないわよ?」
「大丈夫!私がおすすめのお店紹介してあげるから。碧斗とデートに来た時、梨里杏が連れて来なさい!」
「ありがたいですわ。でも碧斗君と鉢合わせしないかしら?」
「そこに関しても大丈夫!食品館があるのは一階で私たちが行こうとしてるのは3階だから絶対に鉢合わせなんてしないから安心して」
「分かったわ。唯を信じるっ!」
モールの中に入り3階まで階段で登るのは流石に気が引けたので、エレベーターを使って上がることにした。フードコートに行き着くまでの間、3階に何があるか唯に簡単に紹介してもらいながら歩いた。
フードコートに着くとそこには、老若男女問わず色んな人達がいた。
「人が多いですわっ!」
「この時間帯だと人増えてくからねー。ねぇーそれよりもさ、梨里杏何が食べたい?」
「私、どれが美味しいか、分からないので唯と同じものにしますわ」
「んー...。それならあそこのうどんにしよう梨里杏!」
「分かったわ。でも先に、御手洗いに行きたいのですがどこに行けばいいのでしょうか?」
「手を洗うとは律儀だねー。あそこに御手洗いがあるから行ってこーい」
「本当ですわ。それでは行って来ますね」
唯に浅く礼をして私は御手洗いに行くことにした。初めて来たモールの周りを見渡しながら歩いていると一つだけ目についたお店があった。
「アクセサリー店...?」
たまに下校中、女性がネックレスを身につけている姿を見たことがある。前からネックレスのことが気になっていて、碧斗君との初デートの時に必ずつけたいと思っていた。だから、唯を少しだけ待たせることになるけど下見ぐらいならと思い店の中に入ろうとした時だった。
「ありがとな。彩春。彩春のおかげで自信が持てた気がするよ」
今の声ってもしかして碧斗君の声...。
声がした方を見てみると、そこには、碧斗君と私よりも少し年下の女の子が一緒にいた...
私は、その二人の姿を見た瞬間頭が真っ白になってその場から逃げ出してしまった...
走って、唯のところまで戻ると、唯は、心配そうな顔で私を見てきた
「どうしたの!?梨里杏何で泣いてるの?!」
「えっ....」
触って確認して見ると頬が濡れていた。自分で泣いているのに気づけないほど私の心は、追い込まれている。ずっと手で顔を拭いながら泣き止もうとしても涙は止まらなかった。唯は、バックの中からハンカチを取り出して渡してくれた。
「梨里杏、涙止まった...?」
「は...はい。止まりましたわ...」
「ねぇ。何があったの、教えて相談に乗るから...」
「う...うん......」
さっきのネックレス店で何があったか話ていると、唯は怒っているのか手に力が入っていて体は震えていた。
「本当に言ってるの?!碧斗そんな最低野郎だったの!」
「でも何か理由があってあのお店にいたのかもしれませんわ...」
「浮気している以外に理由なんてないじゃんっ!」
「そうかも知れませんが、私が、誤解してるだけかも知れませんので明日、直接碧斗君に聞いてみます...」
「梨里杏が、そうするっていうならそれで構わないけど...もし!浮気ってわかったらすぐに別れなさい!分かった?!」
「は...はい」
私たちは、フードコートでご飯を食べることなく現地解散となってしまった。家に帰りついた私は、自分の部屋に入ってすぐベッドにうつ伏せにして倒れ込んだ。
「碧斗君...嘘だよね...」
正直碧斗君のことを信用したい気持ちはあるけど、あの女の子に見せていた笑顔を思い出すだけで胸が苦しい...
でも私は、碧斗君のことを信じたいだから...
私信じてるよ...碧斗君のこと...
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