第10話 友達

ー梨里杏 SIDEー


いつも私は、学校で一人だった…

でも、前から好きだった人と付き合えることになって私は嬉しかった!好きな人とこれから先学校でもずっと一緒に入れる!けど…学校での私の立場は何も変わらない…いつもの様に冷酷姫と噂され、辛い思いをしないといけない。

学校に登校するまではそう思っていた…


「あんた、碧斗と付き合ったのか?」


「そ...そうですわよ...」


学校に来て早々同じクラスの女子達に呼び出された。三人組の女子でメイクをしてたり、ヘアカラーを変えている。所謂ギャルだった。いつもの様に脅されたり、根も葉もないこと言うに違いない。そう思うと足がすくんで動けなくなっていた。そして、いかにもリーダー格の様な人だけが私の前に近づいてきて後の二人は、少し離れて見守るようにこちらを見ていた。


「あのさ、あんたに一つ言わねぇーといけないことがある」


「な…何で…しょうか?」


「今まで悪かった!!」


「えっ…!」


「いつもあんたが、私達が好きになった人達を奪った挙句振って楽しんでいると思ってた…とても妬ましかった。でも碧斗と一緒にいるあんたを見て分かったんだ。あんたは、ずっと碧斗のことが好きだったから振ったんじゃないかって…」


申し訳なさそうに私の顔を見ながら話してくれた。でも私が、前から好きなの知っているのは碧斗君だけなのにどうして…

碧斗君とこの人達とは接点ないはずだし知ってるはずがないわ。


「どうしてそれを…」


「見てたらわかるわよ…いつも澄ました顔していたあんたが、碧斗と一緒に登校してきた時今まで見せたことのない笑顔になってたんだから…」



私、どんな顔して学校に来たの…?今思い返してみると少し恥ずかしかったけど別に後悔はしてはいないからいいのだけど。そして彼女は、謝ろうとしているのか少し涙目になっていた。


「ごめんなさい…あんたに許してもらえる権利なんてひとつもないことは、分かってるの。でも、せめてもの償いをさせて欲しいの…」


私に頭を下げて謝ってくれた。私も彼女達のことも考えず、男子からの告白を断っていた。だからこそ、彼女にして欲しいことは決まっているわ。


「それなら…私と友達になってくれませんか?」


「えっ…とっ友達…?でも私達は、あんたに今まで悪いことをしてきたんだ。冷酷姫というあだ名を広めたのは私たちなんだぞ!…それでも友達になりたいか…?」


頭を上げた彼女は、とても辛そうな顔をしていた。


「それでもなりたいわ。私もね…あなた達の気持ちを理解しようとせず多くの男子を振ってきた…だから、私も人の気持ちを理解してなかったわ…だから、仲良くなってあなたのことをもっと知って気持ちを理解したいわ」


「まさか…償いが友達になろうだなんてね……うん分かったわ。友達になりましょう


初めて高校で友達が出来た。今まで友達が出来たことないからとても嬉しいけど、彼女の名前がわからないわ…


「あ…あの名前は…?」


「そういえば、言ってなかったね。私の名前は、東城とうじょう 唯よ。よろしくね!」


「こ…こちらこそですわ唯さん!」


私は、お辞儀をしながら返事をした。けど彼女は少し不服そうな顔をして私を見ていた。


「梨里杏。私達は、友達なんだから唯さんじゃなくて唯って呼んで!」


「わ…分かったわ唯…」


「それで良し」


唯と仲良くなって少し話していると何かを思いついたように私の目を見てきた。


「ねぇー梨里杏は、碧斗にしっかりアプローチした?」


「し…したわ」


「例えば?」


「い…言わないとだめかしら?」


「言わないとだめ」


「こ…恋人繋ぎしたいって言ったわ…あとは………」


「まさか…それだけとは、言わないよね…?」


「それだけです…」


まだ付き合って1日しか経ってないのもあるけど、碧斗君にアプローチできるほど勇気が出ないわ…

唯は、私の両肩を掴んできて深刻そうな顔をしていた…


「あのね、梨里杏よく聞きなさい。これから、もっとアプローチしていかないといつか碧斗の気持ちが冷めてしまうかもしれないわよ」


「そ…そうなんですか?!」


「個人差はあると思うけど大体の男子は、三ヶ月で気持ちが冷めてしまうんじゃないかしら」


「それは、嫌です!ずっと碧斗君に私のこと好きでいて欲しいです!」


「それなら、今日何かアプローチ出来そうなもの何かないか?」


「えーっと…今日は一緒にお弁当食べるぐらいしか…」


「それだ!昼休みに弁当食べさせたりしたら男子は喜ぶと思う!」


ムリムリ!私にそんなことできる度胸なんて一つもないし、恥ずかしくて死んでしまうわ…


「ムリ!絶対できないわっ!」


「でもやらないと、碧斗がどっかに行っちゃうよ…それでもいいの?」


「……あーーもうっ!分かった碧斗君のためなら私やるわ!!」


そのあと、唯と一緒に昼休みどのようにすれば良いか計画を立てていると始業ベルがなりそうな時間帯になっていた。


「そろそろ戻りましょうか」


「もうこんな時間か…そうだなそろそろ戻るとするか。それじゃあ、あの二人のところにまずは行こう」


私達は、二人のもとへ行き四人で一緒に教室に戻ることになった。


「どうだった冷酷姫こと梨里杏ちゃんと仲良くなれた?」


「友達になれたよ。なっ梨里杏!」


「うん!」


「最初、梨里杏ちゃんと碧斗が一緒に登校してるの見た瞬間に「謝らないと!」って必死になってたもんねー」


「やめろ!言うなよ恥ずかしい…」


教室に近づいたところで唯が急に何かを思いついたかのようにスマホを取り出した。


「ねぇ!NINE交換しよ梨里杏っ!」


「えっ…!良いのやったー!」


私にとって家族以外でのNINE登録している人は、碧斗君しかいなかったけどまた増える!


「私ともNINE登録しよ!」


「私も私も!」


「ありがとうございます。それでは、お願いしますわ」


私は、また学校でも冷酷姫と彼女達から言われ続け友達なんて一人もできないと思った。でも今日初めての友達ができた。これから辛いことがあっても助け合えるような仲になれるといいな



そして友達といる高校生活。楽しいとですわ…

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