第5話 暴虐と凌辱
長谷部一幸の貫手が迫る。瑞穂は神御衣の力を解放し、これで神力と身体能力が倍加。かろうじて回避、神力を練ろうとするも、倍加しているはずの力の集まりがあまりにも遅く、弱い。術をくみ上げる間もなく、兼定玄斗の奮う鋲つき六角棒の一撃! これもギリギリでかわしたが、床がグシャリとたやすく砕かれるのを見て瑞穂は肝を冷やした。瑞穂はバックステップ、距離を取りつつ練り上げた小さな力を解放、本来なら強烈無比の神威の閃光が炸裂するはずのところ、それは男たちの目を一瞬、眩ます程度にしかならない。
「へ……まあ、多少の抵抗はあったほうが、楽しいよなぁ……」
閃光の目くらましが直撃する寸前、自ら目を閉ざして目くらましを回避した長船。そうと知らず近づいて一撃を繰り出す、その寸前の瑞穂にカウンターで強烈な膝!
「ぁ……が……っ!?」
「見えてますよー、姫さまァ? 迂闊でしたねっ、と!」
一方的な乱舞連撃。素行不良ゆえに副隊長の地位に甘んじてはいるが、長船の武芸は隊長、上級監査官・磐座遷(いわくら・うつる)にも劣らない。神力なしでは護身程度の武術しか修めていない瑞穂が、到底かなう相手ではなかった。顎先へのフックで脳を揺らし、下腹に膝のワンツー、プラスボディブローでダメージを蓄積、動きを奪う。あとは好き放題に、巨大な乳房をパンチングボールだというように殴り回す長船。
「ひ……ひいぃ……っ!?」
痛みと恐怖に、思わず情けない声が出てしまう。なんとか逃げようとするが、逃げられない。長船の攻撃は執拗に苛烈に嗜虐的に勢いを増し、そして視力を回復した玄斗と長谷部も加わり、瑞穂を羽交い締めにし、ボコボコに痛めつけた。
「はぁ……はぁ……っ、げほっ、がふ……ぁぐ……」
「さて……こんなもんか。そんじゃ、玄斗。やってやんな」
半死半生青息吐息の瑞穂、長船は最後にその乳房をひっぱたくように強打して、待ちかねる玄斗に次を譲る。
「おぉ! へへ、ギッタギタにしてやんぜぇ、お姫さま!」
「ひ……い、イヤです……来ないで……」
兼定玄斗の190センチを越す長身と、筋肉質な体躯。平素から瑞穂はこの男に対して恐怖感があり、いまその潜在的恐怖は決定的になった。両手で胸を隠すようにして後じさる。
が。
「そいつぁ聞けねぇなぁ!」
いまの瑞穂に抵抗するだけの力は無い。玄斗は一気に間を詰め、瑞穂を引き倒すと神御衣に手をかけた。「ひぃぃ……っ!?」神力が抑制されているということは堅牢不壊の神御衣も鉄壁ではありえないということ。玄斗の怪力の前に、びりりと引き裂かれた。「ーーッ!?」目を見開き、今度こそ震え上がる瑞穂。
その顔面に玄斗の巨大なこぶしが落ちる。一発や二発ではない、何度も何度も、執拗に殴られて瑞穂の顔面はたちまち血にまみれた。
「やりすぎて形が変わんねぇよーにな。顔のパンパンに膨らんだ女なんかヤりたくもねぇ」
「わかってまさぁ! そこんとこ、オレに抜かりはねぇ!」
長船の注意に、玄斗はニタニタと邪悪な笑いを浮かべる。右手で瑞穂の顔面を殴りながら、左手で治癒の法術を照射して「心に痛みを与えつつ、肉体的な実質のダメージは少なく」抑える。なんにせよ殴られたそのときどきの痛みは本物であり、回復されるとは言え瑞穂としては泣き喚き、苦悶するほかない。
「オラァ! これがテメーらの見下す、男の拳だ!!」
「み、見下してなんか……ぁひいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~ッ!?」
どごごっ、がす、べき、どふっ、ご、べききぃ、ぐちっ、どちゃ、ぐぢゅ、ぐしゃっ、ぼご、どごごぉぉっ!
瑞穂の反駁など待たず、玄斗は巨拳を何度となく顔面に打ち下ろす。殺さないよう十二分に手加減した拳ながら、喰らう側としてはたまったものではない。相手に殺すつもりがなくとも、こちらは殺されるとしか思えない。
「あぎびいぃぃ~ッッ!? や、やめ、んひいぃ~~~ッ!?」
「アァ!? なに言ってッかわかんねーぞ!? ヒキガエルの真似かァ、それぁよ!?」
乱打、乱打、さらに乱打。哄笑しながら、玄斗はたまらない征服感と優越感に酔った。瑞穂はその狂乱した瞳をのぞいてしまい、この上ない恐怖にすくむ。
「姫さまー? んな不細工な声あげてねぇーで。いつもみたいな清澄な声で、ありがたい説教たれて下さいよ?」
長船が、弄(いら)うような小馬鹿にした口調で言う。長谷部もまた、さげすんだ笑みで瑞穂を見下していた。
「ぞ、ぞんな……無理いぃっ! ぇぐ、げうぅっ!」
「許して欲しけりゃ命乞いしてみろよ! オレ様のチンポにビンビンくるよーな、やらしー言い方でなあァ!」
「そ……それは……それは、できませんっ! わたしは齋姫として……敗北を認めるわけには……!」
「そーかよなら死ねえぁ!」
ドガッ、ゴスベキガスドゴボグゥッ!
ドゴゴッ、ベキガンゴスドボォッ!
ドフゥッ、ドフゥッ、ドゴ、ベキ、グチッ……!
「おーし、そんなもんでいいだろ、玄斗。手加減してるつーても、お前の力であんまし殴ると殺しちまうからなァ……」
「おう。へへ、無駄な抵抗しやがるから思わず気合入れちまった。……にしても、さすがに齋姫、あれで死なねぇ生命力はさすがだわ」
長船の言葉に、玄斗は従順に従いリンチを止める。邪悪に冷酷に笑う男たちに、瑞穂はなお意志の光を失わぬ瞳で睨み返すが、
「そーいや、神楽坂の大旦那、どーすっかねぇ」
「え? おとう……さま……?」
長船の言葉にその強い意志が揺らぐ。養父・相模は孤児であった瑞穂を救い上げ、今あるこの地位のすべてを与えてくれた大恩人。瑞穂にとって誰よりも大切な存在であり、それは自分自身より重い。
「なんなら殺しちまうのが一番、なんだよなぁ。俺たち神月派の一番の障碍なわけだしよ……」
「そ、んな……! お義父様は、お義父様には手を出さないでください! わたしがなんでもします、なんでも従いますから……!」
「へぇ~、そら、こーいうことでもか?」
長船の言葉に、玄斗と長谷部が背後から瑞穂の両腕を羽交い絞めにして注射器を突き立てる。瞬時に前進が焼けるほどの熱感、魂がぐつぐつ煮えるような興奮状態にされた瑞穂の、ショーツの中に長船は武骨な指を挿しいれ、ぐちょぐちょと掻き回す。
「ひ……な、なんです、か、いまの? あひひひひぃ!? ひあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~っ!? や、やあぁぁっ、なにこれっ!?
なん、れすかあぁっ!?」
「おーおー、いきなりパンツぐしょぐしょじゃねーですか、姫さま? いくら特上モンの媚薬っつーても、素養なしじゃこうはいかねーですぜぇ?」
長船はほかほかの股間をわざと瑞穂に聞こえるよう、淫らな水音を立ててかき回した。秘裂をかき回される羞恥と、それを数倍上回る快感に、瑞穂はおとがいを反らして仰け反り、よがる。
「び……びや、く? な、なんてこと……を……ひぁひぃぃ~~~ッ!! な、なにか来る、こ、これ……」
「お、イキそーなんか、雌ブタ? へへ、手伝ってやるよ。まずはこの馬鹿でけぇデカパイを揉みまくってやる。うへへ、イクときはイきますって言えよ~、わかったか?」
「私はこちらを責めてやろう。そら、菊座で存分に悶えろ!」
秘裂を責める長船に加え、乳房と乳首を玄斗に、臀部と菊穴を長谷部に猛撃されてはなすすべもない、瑞穂はたちまち達せられ、「―――ッ!!」と意識野を真っ白にして絶頂した。先手衆の三人は執拗であり、さらに瑞穂を責めたて、何度も何度も絶頂させた。
……30分後……
「ひあぁぁ……ま、また、……も……、もう許して……イキすぎて……死んでしまいます……」
「へへ。そろそろ完全に仕上がるかァ? 姫さまぁ、最後にキスしましょーか、ちゅーを。それに耐えられたら、解放して上げてもいいですぜぇ?」
長船はこれで最後、という餌をかけて提案してみせる。もちろん最後にしてやるつもりなどないのだが、快楽と精神的摩耗で精神状態が正常でない瑞穂はあっさり掛かった。
「ほ、本当、ですか? はい、わかりました、キスします! や、約束ですよ? これで、最後に……」
「はいはい……っと。じゅぶっ……」
いちいち確認してくる瑞穂を遮り、長船のぞんざいなキス。しかしそのテクニックは百戦錬磨、瑞穂がこれまで培ってきた清貧、清廉、廉潔を覆すにあまりあり、実に数分の濃厚なキスの途中から、瑞穂は自分から長船の逞しい身体に両腕を回し、しがみつきすがりつき、唇も自分から貪るような態度を見せるに至る。
「ん゛ふぅっ……んぅっ、んじゅ、ちゅぷ……じゅく、ちゅばぁっ……れちゅろ、ぢゅぶ、ぐぢゅっ、ずゅぶ……ん、んふぅ……はぁ、ん……んぢゅっ、ぢゅぶ……ちゅる、ぢゅぱ、ぢゅぷっ♡ はぁぁ……お、長船さまぁ……♡」
「へへ、淫乱姫が完全に堕ちたな。さて、このまま最後までヤッちまいたいが、そーすっと神月の旦那に殺される。ま、あとでたっぷりかわいがってやるぜ、瑞穂。嬉しいか?」
「は、はいぃ……♡」
その後、瑞穂は内宮府の廊下を裸で練り歩かされて神官や司祭たちにその艶姿をたっぷりと視姦され、彼らの要求に応じた長船言継の命令で衆人環視の中でオナニーをさせられたうえ、神月五十六の伏魔殿、紫宸殿に連れ込まれる事となる。
「来たか、瑞穂」
「ごきげんようです、神楽坂さん♡」
老いてなお矍鑠、長髯の美丈夫たる神月派の首魁・神月五十六とその軍師・磐座穣に迎えられて、瑞穂は自分が完全に敗者としてとらわれたことを知った。
………このさき、神楽坂瑞穗にはさらに苛烈な陵辱地獄が待ち受けるのだが、それはひとまず、先の話……。
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