第7話


 仕方がないが、一旦家に帰ろう。


 立ち読みなんていつでも出来る。


 しかし私としたことが、なんて失敗を犯したんだ。


 …自分に腹が立つ。



 振り返り、家への方角を再び歩いた。


 帰るのに少なくとも7分くらいはかかるから、少し急がないといけない。


 …のだが、生憎最初の交差点で信号に引っかかってしまった。



 ああ、もう!


 ムカつく!



 信号は赤だけど、もういっそのこと渡っちゃおう。


 入り組んだ路地の中だし、誰も見てないよね?


 地元の商店街へと続く道。


 居酒屋さんだったりクリーニング屋さんだったり、八百屋や肉屋、屋上駐車場付きのホテルと、小さな郵便局。



 まだ朝が早いから、ほとんどがシャッターを閉めたままだ。


 普段通らない道だから、朝早くからの街の様子が新鮮に感じる。


 別世界までとは言わない2丁目の路地裏。


 人通りも少ないし、車の通りはほとんどない。


 今日のように、たまにはこういう道を歩いてみるのも良いかもしれない。


 通い慣れた登下校の道がいつもと違う場所になると、新しい何かを連れて来てくれる気がするから。


 

 

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