第6話
えーっと…、確かローソンは…
地元の神戸の街は入り組んでいて、時々路地の入る場所を間違えてしまうことがある。
まだ頭が覚めていないのか、自分が思ったところの道と、たどり着くべき場所が一致しなかった。
確か中央幹線を横断して、川向こうの2番目の信号機を曲がったところに、看板があったはずなのに…
仕方がないから駆け足で来た道を戻った。
それは元々の目的地であるローソンを探し直すためではなく、神戸市の中央区へと続く、県道21号線の反対車線沿いに向かうためだ。
立ち読みできたらどこでも良いし、買うものはとくにない。
時間に余裕があると言っても、さっさと用事を済ませないと、せっかくの朝の
急いで来た道を引き返して、歩道橋の向こう側に見える時計台を見上げた。
時刻は7時30分。
途中から線路を跨ぎ、レンガで覆われた公園近くの歩道の上を早歩きで歩く。
すれ違うのは仕事に向かうスーツ姿の男性や、ガラス張りのビル、学校まで友達と一緒に歩いている小中学生の女の子たち、横断歩道の信号。
そこで私はあることに気づいた。
いつもには無い違和感。
ブレザーのポケットがやけに軽いなと思いつつ、左手でその中を探る。
…え、ウソでしょ……?
いつも左ポケットに入れているはずのスマホ。
入ってないじゃないか…!
右にも無いし胸ポケットにはもちろん無い。
…まさか、忘れたなんてことはないよね?
急いでバックの中を探った。
あるのは寝癖直しのヘアウォーターと財布、教科書類に筆記用具、それからお茶。
…ない!
ないないないない!
ウソ!!
ちゃんとリビングに持って降りたはずなのに…!
確か目覚ましが鳴って、ラインの返信とかでご飯を食べながら触ってたんだけど、そのあとどこやったっけ…?
そのまま机の上とか?
時計を見た。
電車の時間まではあと20分。
…、どうしよう。
家に帰ろうかな
いやでも、わざわざ取りに帰るほどのことでも……
だけど今日は、友達と約束してるんだよね。
この夏最後の花火大会。
最後に思いっきりハメを外すつもりだから、家に帰るのが絶対遅くなる。
遅くなるのなら母さんに連絡しとかないといけないし、最悪迎えに来てもらうという可能性も無いことはない。
どちらにせよ、スマホがないと何かと不便なんだよなぁ
…うーん
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