第2話 先代魔王との邂逅
「誰だ!」
ウィリアムは侵入者の気配を感じたのでいつでも魔法を放てるように魔力を込め敵に備える。
「あれ?気配は感じるのに誰もいない……」
部屋を見渡しても姿かたちも見えないので警戒を解くことが出来るにいると部屋の暗闇から突然老人がぬーっと姿を現した。
「何者だ?お前も教国の暗殺部隊か!」
「ほっほっほ。儂が侵入したことに気が付くとは中々の実力の持ち主の様じゃな。それに無詠唱に多重詠唱で儂を消し炭にしようとしておる」
老人はいつ攻撃されても可笑しくないの普通に話し始めたのだ。これには歴戦の猛者であるウィリアムも初めての経験だった。今までの襲撃者は無言で襲い掛かってきたが目の前の老人はそう言った殺気を感じなかった。
「それでじいさんは何しに自分の部屋に侵入したんだ?」
「そうじゃった。本題を忘れておった。ゴホン、お主の力を生で見て確信した。魔王軍の四天王としてうちに来ないか?」
「ま、魔王軍?四天王?意味わかんね。何で魔族でもない俺がスカウトされるんだ?」
突然のスカウトにウィリアムも混乱したがそんなウィリアムに老人は話しかける。
「儂は魔王をしておってな。お主の噂を聞いて様子を見ておったのだが、色々な人間に苦しめられて困っているようだったのでな魔族の国に避難しないか誘っているのじゃ。その代わりと言っては何じゃが力を貸してほしくてのう」
「自分は無闇に人を殺したりしないですよ」
ウィリアムは殺人衝動は持ち合わせていないので先に断っておくが老人は否定した。
「そんなことをさせるつもりは無いぞ。儂が纏まりのなかった魔族を纏め上げ魔王になってかなり経つが、儂の目が黒いうちは許さんよ。じゃから安心するとよい。それに給料もたんまりと出すし、休みも週二日最高の職場じゃないかの?」
「う~ん。別にお金には困ってないしじいさんの話に乗らしてもらうよ」
「それは良かった。では、早速儂の国に迎え入れよう。さぁ、早く荷物を纏めて行くぞ!」
じいさんはすごく嬉しそうにウィリアム荷物を魔法空間にしまい込んだ。
これがウィリアムと先代魔王アーノルド・ケイネスとの出会いである。
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