第5話 二人きりの夜

「夏蓮ちゃん。私、明日、従兄弟の結婚式だから家の事、宜しくね。一応、一泊してくるから」


お義母さんから聞いた。



「はい。分かりました」




その日の夜、広志からは急な出張が決まった事を聞いた。



次の日、お義母さんも出掛け、広志も出張の為、出掛けた。




その日の夕方――――




「ただいま」



リビングのキッチンに、昌輝君が顔を出す。



「あっ!おかえり。昌輝君、今日ごはん食べるの?」


「食べるけど?つーか、今は毎日、一緒に食べるようにしてんじゃん!」


「まあ、そうだね。確かに、一緒に食べてるよね。じゃあ、二人分、作るね」


「二人分?えっ?兄貴と母さんは?」


「お義母さんは、従兄弟の結婚式で、広志は、出張なんだって」


「えっ…!?出張…!?」




《いや…さっき女の人と一緒にいるの見かけたし》




「夏蓮さん、その兄貴の事なんだけど、街で女の人と一緒にいるの見かけたんだけど」


「そっか…私いながら困ったもんだね。あっ!ごはん出来たら呼ぶね」


「…夏蓮さん…」



私は準備に取り掛かる。


スッと背後から抱きしめられた。



ドキン



「ほ、ほら…危ない…」


「無理に笑顔つくんなよ…!」



「………………」




振り向かせると、両手で両頬を包み込むように優しく触れ、そしてキスされた。


私を見つめる優しい眼差しに私の胸がドキドキ加速していく。




「夏蓮さん…」

「な、何?」

「何でもない」

「えっ?何それ!」



昌輝君はクスクス笑いながら



「ごはん出来たら呼んで」



高校生らしい、あざとさを見せる彼に、胸の奥が小さく跳ねる。



「う、うん…分かった」


私は夕飯の準備をした。



作り終え昌輝君を呼ぶと私は缶ビールや缶酎ハイなどを飲み、テーブルの上に散乱。




「夏蓮さん飲み過ぎじゃね?」


「良いの!良いの!今日は私のストレス発散日!明日休みだし買いに行ってストックあれば良いから。あっ!飲み過ぎてキスしたらごめんね〜」


「キスだけじゃ止まらないんじゃねぇの?」

「えっ…?」



私を見つめる眼差しにドキドキと加速する。




「ちょ、ちょっと…何言って…大丈夫だし!さて、洗い物でもしようかな?」



私は洗い物をしようと、洗い場に行く。



スッと背後から抱きしめられた。



ドキン…

胸が高鳴る。




「ま、昌輝君…駄、駄目…」




振り返らせるとキスされた。




ドキッ



「俺達二人だけしかいないのに気にしなくても良いじゃん!」


「それは…でも…」


「夏蓮さん、結婚して幸せだって顔してんの見た事ねーよ!あんたが俺に正直に兄貴との事を話してくれて…俺…それを聞くまで本当知らなくて」



「………………」



「夏蓮さんを不安だったり悲しくて淋しい思いさせてるくせに良い言葉並べて、兄貴は表情とか気持ちとか

気付いてねーくせにって…」


「…昌輝君…」


「夏蓮が心を開いてくれたから、俺はあんたの力になれたんだと思う。ずっと一人で抱え込んだりして一人で悩む毎日だったんじゃないか?って…」



「………………」



「お風呂済ませてきな。洗い物は俺がしておくから」


「…でも…」


「良いから」


「…分かった…」




私は、お風呂を済ませ、リビングに行く。



「昌輝君。お風呂あがっ…」




言い終える前にキスされた。



ドキッ




「行ってくる」

「…うん…」




《何だろう?》

《昌輝君に対して、いつもよりドキドキしている》

《夏蓮!相手は高校生なんだから!》



私は自分に言い聞かせる。


私は一先ずリビングにいた。




しばらくして――――




「夏蓮さん?」



ドキッ


胸が大きく跳ねた。



「部屋に行かないの?」

「行くよ」




私はリビングの電気を消して部屋に向かう。


自分の部屋のドアノブに手をかけ、背後から別の手が背後から伸びてきた。




「夏蓮さん…」

「何?」

「ごめん…やっぱり…何でもない」




私は正直、このまま部屋に行くのは嫌だった。


もう少し昌輝君と一緒にいたいと思ったから。



私は昌輝君に抱きついた。



「…夏蓮さん…?」

「もう少し…一緒に…いたい…」

「えっ…?…いや…俺と一緒にいたら…」

「…良いよ…その時は…でも…私…色気ないから…」


 

言い終える前にキスで唇が塞がれた。




「…それ…問題発言」

「えっ…?」



見つめ合う私達。



そして、お互い吸い込まれるように唇を寄せ、キスをした。



私の肩を抱き寄せ私達は昌輝君の部屋に入る。


部屋に入ると、キスをし、そのままベッドに私達は倒れ込んだ。


昌輝君は、私の両手を押さえ、私は優しい重みを感じながらも何度も何度も角度を変え、色々なキスを繰り返す。


私は、名残り惜しむように声が洩れた。



「…夏蓮…」



ドキッ

吐息交じりに名前を呼び捨てにされ、胸が大きく跳ねた。


私は一気にドキドキと胸が加速する。


昌輝君は、私の首筋に顔を埋めた。



「昌輝君…?」

「…夏蓮…抱いて良い…?」



ドキーッ

大胆な言葉に胸が大きく跳ねた。



そして、キスをし、深いキスをされ、首筋、鎖骨と唇が這う中、私の身体を昌輝君の手が這う。



ビクッとなる中、昌輝君の息があがってくる。



「…ごめん…やっぱり部屋に戻った…」



吐息交じりに言う、昌輝君が、言い終える前にキスをした。




「良いよ…昌輝…我慢しなくて良いから…1つになろう…」


「…夏蓮…」


「今…この瞬間…逃したら…後悔しそう…」

「…普通…逆だろう?ヤって後悔の間違…」



言い終える前に私は再びキスをする。



「そうだね…」



私は昌輝を押しのけ、ベッドからおり、部屋を出て行こうとする。


グイッと引き止められ、私を押さえ付ける。



「…夏蓮…今日だけ俺の女になって…」




私は、ゆっくり頷く。




そして、気付けば私達が1つになる瞬間。


昌輝が肩にグッと力を込め、私の身体を一気に熱が貫いた。



私は久しぶりの感覚に声が洩れた。



恥ずかしさに、かぁぁぁぁ〜っと熱くなった。



「2人きりの時くらい、ありのままの夏蓮…見せて欲しい」



キスをされ、私の身体を何度も熱が貫く。




「夏蓮…今日だけなんて耐えれねぇよ」


「…昌輝…」


「その時は、また抱いて良い?」


「…それは……」


「…まあ都合良くは駄目だよな…悪い…」



私は昌輝に抱きつく。







気付けば


二人の身体が


いつの間にか


何度も重なっていく……



弟と1つになった時


許される行為じゃない事……




だけど……



1つになった事に


後悔はしないと―――――





































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