第12話 仲直りは合体フォーメーションで?
ギルド二階、サチコ・フォルチュナ専用(本人は知らない)のVIP鑑定部屋にて。
山となったドロップ品に埋もれそうになりつつ、鑑定結果を猛烈な勢いで記録していたサチコ。
ふと、その手が止まる。
すると、淡いベール状の障壁として
★
「ふぅ……。」
少し前のめりだった姿勢から、柔らかなソファへと寄りかかる。
集中して鑑定をした後の、ストンと腑に落ちるここちよい清々しさ。プライスレス!
私は やりきった!
しかし新規発見が1500品目とか、密林ダンジョンは
はあ〜。そういう理由でも転生課配属に
なったのかな、私。
「クゥ〜ン……。ふぁ。
あっ、サティ、終わった?」
無意識にお膝のやわらかさんを撫でていたらしく、かわいい欠伸と共に王さんが起きてしまったようだ。
つぶらなうるうるお目々、たまらない……!!!
「起こしてしまってごめんなさい、鑑定完了です。長々とお待たせしました。」
そのまま頭を下げて、ご報告。
「全然待たされてないよ〜!サティの鑑定の時の魔力最高だったから、むしろ役得?えへへっ!」
尻尾をパタパタ嬉しそうな王さん。
てえてえよこちらこそありがとうございます…!
「すごい集中力だったな!」
アタシには無理!と、ミィさん。
「鑑定中の障壁、完璧だったわ!これなら安心ね♡」
鑑定中に無防備はいけない、という事で、常時漏れ出てる隠密パワー?を転用して、障壁を実装しております。
竜人は普通に衝撃波(!?)とか出る関係で、対抗手段の障壁は標準装備。その手法?には
師匠?のお墨付き、いただきましたー!!
「ね、ねぇ!鑑定終わったなら、王さんはもう膝から降りたら…?さっきギルマス殿下に報告行ってきたけど、その時後でこっちに来るって言ってたからちゃんとしてた方がいいと思うし…。
サティの膝独り占めとかずるいし…。」
恐る恐る聞いてくるミカ兄。
えっ、もう
「そうねぇ。王さんだけサティと仲良しはズルイわよね〜。じゃあ、久しぶりに皆で合体フォーメーションしましょうか!」
サティがよくおねだりしてたわよね〜、覚えてる?と、ニンマリ笑うアンさん。
合体フォーメーション、って何?
この、なんとか特選隊とか小鬼トリオのやつみたいな名付けはアレですか、私のやらかしですかねいやもう聞きたくないお腹いっぱいですわ…。
「ええーっ?僕は膝降りないもんっ!このままでいるんだもんっ!!」
ぴっとりと私の膝にしがみつく王さん。本当ご褒美でしかないわありがとうございます良かったらここに住んで頂いても。
「うわっ懐かしい!やろやろ!じゃあアタイはぁ、アンソニーの肩の上!」
丁度アレを頼まれてたから、試運転がてら撮影するぜ〜♪と準備を始める、魔道具大好きウキウキのミーさん。
……試運転?フォルチュナ家関連??すいませんいつも大変お世話になっております。
「え…っと、サティ、いいですか…?」
恐る恐るこちらを伺うミカ兄。そんなに怖がらなくてもいいのに。
うーん、帰宅拒否、やりすぎだったかな?
「……別に、怒ってないよ。過保護すぎるのは、信用されてないみたいで悲しいんだよって理解して欲しいだけ。いつもミカ兄が気にかけてくれるのは感謝してるし、嬉しいよ。
嫌いになったりしてないよ。」
ため息混じりにそう答えた。
「サティ!!……ありがと。」
そっと近づいたミカ兄が、私をぎゅって抱きしめた。
……そして王さんごと、膝の上に抱っこ?
あ。思い出したわ。
まだよちよち歩きの頃、ミカ兄にぶつかってお互いのおでこぶつけてわんわん泣いて、アンソニーさんにどっちが抱っこしてもらうか(今思えばアレってミカ兄が私を抱っこするつもりだったのかも)で揉めた時の、結果的になんか連なったアレだ……!!
「大きくなったねぇサティ!!」
ニコニコしながら私を見るミカ兄。いや、だから、私達双子なので同い年ですけど…。
「本当ねぇ〜!あの双子ちゃんがこんなに立派に育って!」
そして、王さん・私・ミカ兄を纏めて軽々抱き上げ、座り直すアンソニーさん。
いくらミカ兄が小柄な方だと言えども、竜人の力って半端ないわ……。しかも素晴らしい安定感。
「おし!準備できたっ!さぁ目線はあの魔道具だよっ!」
ひらりとアンさんの肩に乗り、魔道具“
うわー……。噂には聞いてたけど、カメラ付きド◯ーン、できちゃったのね……。
「はいっ!
“やっぱりサティ!
一緒にいると、たーのしーいなー!”」
パシャり。
………。
イ◯バ物置!みたいな言い方で撮影するのヤメテ!?
てゆーか、もしこの写真使うとか言ったら旅に出るからね?!
そういうとこだぞ、フォルチュナ家!!!
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