第5話 ブルー○ス、お前もか
引き続き、総合ギルドの鑑定室にて。
「いや、謝らなきゃいけないのは、俺の方かもしれなくてな…。」
愚兄のせいでナバーバ(バナナ)配達なんてさせてしまって涙目な私の謝罪に、気まずそうに目を逸らすダクトさん。
「えっ?」
「あー……うーん。」
困った顔で頬を掻いてから、耳のカフスに付いた魔石を握る。
「《お前さんの兄貴から聞いたよ。転生課、配属になったんだろ?…実は俺、サティ直属の上司、主任になったんだ。》」
勝手に事情を知ってるとか、気持ち悪いよな…すまん、と頭を下げられた。
「……えっ?」
ダクトさんが、転生課主任?
それって、もしかして私のせい?
……いきなり情報過多ですね?
…あ、ダクトさんの転生課個人証はイヤーカフなのね…これって、個人認証の他にも念話ができるんだ〜。ハイテクぅ~!いや、むしろファンタジィー?
(※現実逃避中です。)
…じゃなくて!
「…ふぇっ?」
フォルチュナ家に、情報筒抜け、だと!?
「今回、“幸福の担い手”に同行したのは、フォルチュナ家がどこまでサティの事を把握しているかを探る意味もあったんだ。ほら、魔法学院の時も色々あっただろ?」
「その節は、大変お世話になりました…。」
あー。ステルス失敗した学院時代…。
昔からよく、さらわれたり行方不明になっていたらしい私。ほとんどは気配消しスキルが勝手に発動してて、制御なにそれ美味しいの?だった結果見つからないだけだったらしいけど。不可抗力です。
そんな私が学院で寮生活する条件に、防犯の為、カメラ・ボイレコ・GPS的な魔道具“さっちゃん人形”(酷いよね…密かに商品化しやがって)の常時携帯義務があったんだけど、その件でプライバシィーとか子供の自主性ガーとかで学院側と揉めて。
でも、その有用性についての説明とか証明実験結果とか、あらゆるコネクションを使っての圧力的な力が作用した結果、学院全体に監視カメラ的な形で設置という事態に。
私情と実益を兼ねて本気の商談に乗り出したフォルチュナ家、恐ろしかった……。
そんな訳でまぁ、学院時代はやることなすこと親に筒抜けで。まぁお金出して貰ってるし、兄達のコネクションで色々やらせてもらってた事もあるから、仕方なく飲み下していたけども。うざ絡みしてくる令息とか、ジレジレカップルの板挟みとか…面倒極まりない事の対処に大変助かりました。まぁ卒業間近頃は情報をブロックする手法も編み出してうまくやってたけど。
さすがに卒業後はそんな
うん?……寮?
私が寮生活するに当たって、フォルチュナ家から莫大な資金援助で男女別の最新設置で寮の建て替えが…ありましたね?
私の部屋が恐ろしい待遇になりそうになったのを、上司夫妻やダクトさん等で何とか普通にする代わりに、なんか渡されて、それもそっとお焚き上げ処理したよね……?それでもまだある、と。
えー、直近で貰った物……。
あの、誕生日プレゼントの、ぷーまちゃん(クマの布人形)か!?
隣国にいる、次兄の婚約者様が手作りしてくれたという“サティバージョン”くまちゃん(糸目仕様)!大切にしてた、私の純真を返して!!
…それはともかく!
「い、いつから!?いつから私は監視されてたんですか!?!?」
ダクトさん、さては貴方も巻き込まれてますね?!
「いやいやいや、俺は(実家の方は)無関係、サティの味方だ!!本当だ!!信じて欲しい!!何なら創造神に誓ってもいい!!この通りだ!」
より深く、頭下げられちゃったよ?!
「ダクトさん!」
この世界で“創造神に誓う”は絶対の誓約だ。そんな軽く言っちゃダメ!!
「違います!監視は厄介なフォルチュナ家の愚兄及び過保護親の干渉の事で!!」
ダクトさんは悪くない!
「わわわ私、勝手ながらダクトさんの事は父親のように思ってて!ダクトさんにいつも見守って貰ってて感謝してます、むしろいつも面倒なフォルチュナ家関係でご迷惑おかけしてて、あの、とにかく頭を上げてください!!」
サティの独り立ちの為に力を貸す筈が…本当に申し訳ない!
なに言ってるんですかダクトさん大丈夫です解りましたから頭を上げてください
いや、お前の一番の味方であると誓ったのに…こうなれば、2、3発殴って貰うくらいしないとけじめがつかない
勘弁してください!尊敬するダクトさんにそんな事できません!
いや……
だから、……
鑑定室で終わりのない謝罪合戦をしてると、突然、続き部屋の扉が開いて
「「話は聞いた(わ)っっ!!」」
転生課バッヂを握りしめた、
……盗聴は、貴方達もかよ、ヤンデレ新婚夫妻!
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