第2話 フォルチュナ家の座敷童子



 私はサティ。サチコ・フォルチュナ。


 フォルチュナ家は、建国の英雄を祖先に持ち、何度も叙勲を打診される功績を上げながら、頑なに辞退するも、それも謙虚であると評価を高めている。


 私はその豪商フォルチュナ家の末っ子長女で、歳の離れた兄が2人と、全く似てない双子の兄がいる。


 甘やかす両親、優秀で美麗なシスコン兄達。そんな中で一人、ザ・地味顔平凡な私。

「我が家のかわいい座敷童子ちゃん♪」なんて言われて、ニコニコ笑ってた。


 あまり深く考えないタイプの私、同年代のお友達を作る頃に、やっと気がついた。

 あっ、私ひとり、この家で浮いてるぞ、と。

 いやぁ…気がついてよかった。5歳の時、私に現実を教えてくれた幼なじみ達よ、本当ありがとう。座敷童子って、褒め言葉じゃないんだね!私お花畑すぎる…。

 そして兄達が迷惑かけてごめんなさい…兄よ、彼らはちゃんと友達だから、会う度に威嚇シナイデクダサイ。


 で、結論。

 ヤバいぞ我が家の弱点は私だ。これはもう早く家から出るしかない。


 そう決意して、泣き落としとコネクションと必死の努力で、全寮制(ココ大事)魔術師学校へ。そこで必死に勉強。根性で特待生枠卒業→総合ギルド推薦枠をもぎ取り、無事職業婦人となる事ができたのだった。

 もちろん、ギルド宿舎常駐です!!


 王都総合ギルドとは、冒険者や商業に関する様々な管理・運営を司る、お役所のようなものである。

 王都の一等地に居を構える、3階建ての重厚な建物には、毎日沢山の人が訪れる。

 そこで私の担当は、受付。冒険者への入会説明や生活相談、魔法関連業務を受け持っている。一応、専門職。


 ギルドの受付と言えば、言わずと知れた高嶺の花達の職業だ。見目麗しさ、家柄、知識、高潔さ、多岐に渡る依頼への柔軟な対応力が求められる。

 残念ながら、いわゆる平たい顔、健康的な見た目の私は表に出るタイプではない。

 まぁ、地味に堅実にやっていくのが性に合っているし、大昔とはいえ、建国の始祖に関わったご先祖様(母方の祖母係累)の特徴を色濃く受け継いだおかげで、この仕事の最終選考を合格パス出来たのだから、糸目も一重も仕方ない。

 まあ、堅実な業務では安心と信用が絶対なので、そこに食い込む余地があったという事だ。無害な見た目って有用!厄介な場面ではステルスできるし!


 それだけでなく、私は鑑定と気配離散?のスキルを受け継いだし、一応、魔術学院は特待生として卒業出来たので、この仕事を得ることが出来たと言う訳だ。

 これで、フォルチュナ家のお荷物にならずに済む!

 両親よ、兄達よ、兄嫁よ!わたしはここで生きて行くので、ご心配なく!!

 無関係で宜しくお願いしま〜す!



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