性悪騎士団長×ビッチ司書

第27話 俺だけのおもちゃ(語り:ヒュー)

「ノア、これを持っていきなさい。」




俺は、ノアに小さな結晶石を渡した。


この血晶石には魔法がかかっていて、持ち主の行動を一日中監視できる。


ノアは最初不思議がっていたが、「お守りだ」というと、喜んで持っていった。




ノアが聖女から貰った、『聖水』。


それは、いつも大人しくオドオドしてるノアすらも変えた。




欲しい。


聖女が作った、人を淫らにする聖水が。





「ヒュー団長。何を企んでいるのですか。」




結局聖女に逃げられてしまったが、代わりに司書のヴィルが話しかけてきた。




「はっ、お前も聖女に熱心に見られてたじゃないか。」




気づいてないとは言わせない。


こんな端正な顔立ちの男を、あの聖女が放っておくはずがない。


デューク、リアム、ノア。


獣人は見たことないから知らないが、どいつもこいつも目立つ顔をしている。


聖女は、そういう男たちを自分の手元に置いて囲っているんだろうな。




「聖女"様"でしょう。あのお方は、お前のように私を下に見たりはしない。」


「何だ、もう聖女に丸め込まれていたのか。」


「そんなわけ、」


「今日もいつものところに来い。もし来なかったら……どうなるか分かるだろ?」


「……っ!」




この顔だ。


お前のその端正な顔が、歪むところが見たいんだ。





ヴィル・ホワイトの印象は?


そう聞くと、ほとんどの人間は優しく賢い司書様と答える。


まぁ、それもあながち間違いではない。


しかし、あいつには裏の顔がある。




「来たな、『男好き』。」




そう言うと、ヴィルの端正な顔が歪んだ。





ヴィルには好きな男がいる。


しかし、その男と結ばれることは無いからと、手当たり次第に色んな男に抱かれていた。


俺がその光景を目にしたのは、ちょうど聖女が召喚された頃くらいだった。


誰もいない静かな図書館で、ヴィルは3人の騎士に抱かれていた。


今日、たまたまという訳では無いだろう。


ということは、こいつは日常的に男に抱かれているということか。


だらしなく喘ぎ声をあげるヴィルを見て、俺はニヤリと笑った。


それから、俺はヴィルに近づき、結晶石に記憶させた音声を聞かせた。




「だから何なんですか。それを他の者に聞かれたところで、」


「デューク第3騎士団長にも、ですか?」


「……っ!」




やはりそうか。


俺はヴィルの耳元に顔を近づける。




「バラされたくなかったら、俺のおもちゃになれ。」




どんな顔をしているのだろう。


嫌悪に満ちた顔か、それともすまし顔か。




「ははっ!」




思わず笑ってしまった。


ヴィルは、耳まで真っ赤にして、涙目になりたがら俺を睨んでいた。




その日から、ヴィルは俺だけのおもちゃになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る