『     』

フィガレット

『     』

『深夜にうなされて目が覚める。

とても怖い夢を見た。

 首筋にまとわりつく汗を手でぬぐう。

 恐ろしい夢だったのだが、目が覚めてみるとその内容を思い出せなかった』


・・・


『内容は全く思い出せない。ただその恐怖だけが心の奥底に張り付いている』


 そこで、ふとおかしな事に気付く。


『今何時だ?』


 周囲を見回す。真っ暗で何も見えない。

 暗闇に既に慣れているはずの目ですら、何も捉えてはくれなかった。

 その様子から、私は深夜だと思ったが・・・


 しかし、通常ではあり得ない程の闇。


 その中に私はいる。


『ここはどこだ?』


 私は、必死で記憶を呼び覚まそうとする。

 ここに来た経緯。眠る前の行動。眠る前の状況・・・。


 しかし・・・何も思い出せない。


『私は誰だ?』


 夢だけではない・・・。私は自分が誰かも思い出せなかった。


 更に、自分だけではない。親しい人、親、知人、他人・・・

あらゆる記憶が見つからない。


 まるで思い出そうとする端から、すり抜け消えていく様な感覚。

 何を覚えているのかすら分からない。

 何を忘れているのかすら・・・分からない。


『私は何を失ったのだ?』


 なぜこんな事になっているのだろうか・・・。

 なぜこんな所にいるのだろうか・・・。

 なぜ思い出せないのだろうか・・・。


『なぜ私は存在しているのだろうか?』


 起きているのか、寝ているのか・・・

立っているのか、座っているのか・・・

それすらも分からなかった。


 まとわりつく汗は暑さからではない。

 暑いのか、寒いのかすら分からない。

 

『どうすればここから抜け出せるのかも分からなかった。』


・・・


 只々、時間が流れる。


・・・


 流れているのかも分からない。


・・・


 どれ程の時間が経ったのかも分からない。


・・・


 1日だろうか、2日だろうか・・・永遠とも思える時間。


・・・


 頭がおかしくなりそうだ・・・。

 叫び声を上げても、全く音にならない。

 何も見えない、聞こえない・・・。

 匂いも無い・・・手に触れるこの感覚だけが、私の全て。

 自らの体を掻きむしる。

 この痛みだけが、私が生きている事を証明する・・・。


 しかしある時、突然に手を押さえつけられる感触を覚える。

 少し温かみがあり、まるで人の手の様だ。


 私は必死で抵抗する。すると拘束する手の様なモノが増える。

 無数のそれにより、私はなす術なく押さえつけられる。

 そして何かに縛り付けられる様にして・・・


 私は手足の自由すら失った。


 痒い・・・全身が痒みに似た何かに襲われる。

 しかし、手足の自由がきかない・・・。


 辛い・・・痒い・・・寂しい・・・


・・・


 やがて私は何も考えられなくなる。


・・・


 そして私は思考を止めて・・・


『記憶を失う。』


・・・

・・


『深夜にうなされて目が覚める。

とても怖い夢を見た。

 恐ろしい夢だったのだが、目が覚めてみるとその内容を思い出せなかった』


・・・


『内容は全く思い出せない。ただその恐怖だけが心の奥底に張り付いている』


 そこで、ふとおかしな事に気付く。


『今何時だ?』


 周囲を見回す。真っ暗で何も見えない。

 暗闇に既に慣れているはずの目ですら、何も捉えてはくれなかった。

 その様子から、私は深夜だと思ったが・・・


 しかし、通常ではあり得ない程の闇。


 その中に私はいる。


『ここはどこだ?』


 私は、必死で記憶を呼び覚まそうとする。

 ここに来た経緯。眠る前の行動。眠る前の状況・・・。


 しかし・・・何も思い出せない。


『私は誰だ?』


 夢だけではない・・・。私は自分が誰かも思い出せなかった。


 更に、自分だけではない。親しい人、親、知人、他人・・・

あらゆる記憶が見つからない。


 まるで思い出そうとする端から、すり抜け消えていく様な感覚。

 何を覚えているのかすら分からない。

 何を忘れているのかすら・・・分からない。


『私は何を失ったのだ?』


 なぜこんな事になっているのだろうか・・・。

 なぜこんな所にいるのだろうか・・・。

 なぜ思い出せないのか・・・。


『なぜ私は存在しているのだろうか?』


 起きているのか、寝ているのか・・・

立っているのか、座っているのか・・・

それすらも分からなかった。


 まとわりつく汗は暑さからではない。

 暑いのか、寒いのかすら分からない。

 

『どうすればここから抜け出せるのかも分からなかった。』


・・・


 只々、時間が流れる。


・・・


 流れているのかも分からない。


・・・


 どれ程の時間が経ったのかも分からない。


・・・


 1日だろうか、2日だろうか・・・永遠とも思える時間。


・・・


 頭がおかしくなりそうだ・・・。

 叫び声を上げても、全く音にならない。

 何も見えない、聞こえない・・・。

 匂いも無い・・・。


 痒い・・・全身が痒みに似た何かに襲われる。

 しかし、手足の自由がきかない・・・。


 辛い・・・痒い・・・寂しい・・・


・・・


 やがて何も考えられなくなる。


・・・


 そして私は思考を止めて・・・


『記憶を失う。』


・・・

・・


『深夜にうなされて目が覚める。

とても怖い夢を見た。

 恐ろしい夢だったのだが、目が覚めてみるとその内容を思い出せなかった』


・・・

・・


『深夜にうなされて目が覚める。

とても怖い夢を見た。・・・』


・・・

・・


『深夜にうなされて目が覚める。・・・』


・・・

・・


『深夜にうなされて目が覚める。

とても怖い夢を見た。

 首筋にまとわりつく汗を手でぬぐう。

 恐ろしい夢だったのだが、目が覚めてみるとその内容を思い出せなかった』


・・・


『内容は全く思い出せない。ただその恐怖だけが心の奥底に張り付いている』


 そこで、ふとおかしな事に気付く。


『今何時だ?』


 周囲を見回す。真っ暗で何も見えない。

 暗闇に既に慣れているはずの目ですら、何も捉えてはくれなかった。

 その様子から、私は深夜だと思ったが・・・


 しかし、通常ではあり得ない程の闇。


 その中に私はいる。


『ここはどこだ?』


 私は、必死で記憶を呼び覚まそうとする。

 ここに来た経緯。眠る前の行動。眠る前の状況・・・。


 しかし・・・何も思い出せない。


『貴方は誰だ?』


 

 !?



 恐い・・・怖い!

 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!

 恐怖!?恐怖、恐怖。恐怖、、、、恐怖・・、、。。。。。

 怖い、、、、、、??、、・・、、、、!!、、、、………..


 こわい・、、!・・きょうふ・・?・・


 コワイ・・、、、。キョウフ・・・


 嗚呼ああああああああああああぁぁぁあぁああぁあああっっあ


 あぁ・・・あ・・ぁ、・、……


・・・

・・




『     』

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『     』 フィガレット @figaret

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