case1 「Endress Dream」~パート2・久し振りの仕事~

 21:00、俺は時間ピッタリに都内某所のオフィスビルの3階に位置する仕事場に到着した。開閉式の扉を押し開けて、中に入る。どうやら、俺以外の皆はもう来ていたようだ。

「遅かったな、いつき。反抗期か?」

「別に時間通りでしょう、優美ゆうびさん」

 彼女の名は鬼塚優美おにつかゆうび、27歳独身の俺の勤める『夢陥むかんヘルパー(株)』の代表取締役兼、俺たちが夢に入っているときののオペレーターである。名字のごとく正に鬼であり、優美要素は一つもない。これだから、もうすぐアラサーだというのに男性関係の話が聞こえてこないのだろう。

「おい、樹。その話をしたらどうなるか、身をもって教えたよな」

「露骨に俺の心を読まないでください」

「とまぁ、冗談はさておき。全員揃そろっているな?今回の概要を説明する。夢陥者むかんしゃは14歳の少年、三上みかみカナト。夢の内容はクリアするまで無制限に繰り返されるホラーゲームだそうだ。夢陥者の救助が最優先だ。死んでも、復活するらしいが無茶はするな。戦闘は避けろ。以上だ、何か質問等あれば」


 その後、〈夢造機むぞうき〉の点検等を終え、俺達はいよいよ〈夢造機〉に横になり眠りにつく。メンバーは7人。どれもこれも個性の塊のような奴らである。


 突然意識が薄れる。

 俺はこの感覚が苦手だ。



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