堕ちた神
バブみ道日丿宮組
お題:反逆の神様 制限時間:15分
堕ちた神
堕ちた天使は堕天使と呼ばれるらしい。
では、堕ちた神様はなんというのだろうか?
「……ん、なんだ不満か?」
「いえ、そうではないです。ご主人様といられることは幸せなことです」
そう天界にいようと、地上にいようと我が主様である神様が主福で、理想で、全て。
どこにいようと不満があるわけがない。
むしろ、私がご主人様を満足させられてるかどうかのが不安だ。
「はぁ……何百年一緒にいると思ってるのだ」
「あ、あぁ……」
ご主人様が頭を撫でてくれた。
「不満はなさそうだが、とても不安そうだ」
「は、はい……何年経っても私には他の神々の考えがわかりません」
ご主人様は笑った。
「だからこそ、俺はお前が気に入ってる。どんなに愛しても穢しても美しさを感じる」
「そ、そんな滅相もございません、ん、ん!」
耳は弱い。翼の付け根も。ご主人様の手がゆっくりとそれらを愛撫してく。
「俺の影響でお前もすっかり穢れてしまった。天使というか悪魔になったというべきか」
「こ、この姿はお嫌いでしょうか?」
ちょっと胸がチクリとした。嫌いだって言われたら、代わりの服がわからない。現世の人の服を真似ようか? 街に一緒に出かける時に仮装する姿……。
「こらこらあまり難しい顔をするな。お前は笑ってくれればいい」
「は、はい」
「俺は彼らの考えに賛同できずに天界から自ら追放してきた身分。本来ならお前のような付き人がいることすらおかしいのだ」
悲しい顔をご主人様はなさった。
6つの灰色の翼が萎れてく。
「お前の翼は黒だというのに、俺のは灰色。中途半端」
まるで心のようだと、ご主人様は言葉を続ける。
「未だに未練というのがあるのかもしれない。だからこそ、お前の姿はとても美しい。完全に堕ちてる」
「わ、わわわ」
膝の上にご主人様は私を座らせた。
「本当であれば、お前のような優秀な天使は天界で出世すべきだったんだ。それをお前というのはーー」
ゆっくりとまたご主人様は頭を撫でる。
「本当に困ったやつだ。もう永遠に2人しかいない世界を過ごすのは我ら天界のものでもいつか狂う時がくる」
「そ、そんなことはありません」
「お前のような堕天使化した状態ならないかもしれないが、俺はわからない」
神なのか、悪魔なのか、魔獣か、地獄の咎人か。
口々に言葉にするものはどれも姿が禍々しいものばかりだ。
今のご主人様とはほど遠いもの。
「だから、その時がきたらお前のあれで突き刺してくれ」
「そ、そんなことできません!」
ご主人様に歯向かうなんて!
「何死ぬことはないだろう。元に戻す方法をお前が探してくれればいいのさ」
ゆっくりとご主人様は私に口づけをした。
「俺は狂ってもお前を待ち続けるよ。そしてずっと2人でいよう」
「……はい」
ご主人様の体はとても暖かった。
堕ちた神 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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