心と感情
バブみ道日丿宮組
お題:魅惑の小説修行 制限時間:15分
心と感情
効率が悪い。
先生にそう叱られた。
でも、僕が作品の大賞を取ったのは事実。
部屋に飾られた賞状と、製本された実物を見ると何がいけないのかと逆に怒りたくなってくる。
「……あぁ、もう」
タイプミスが目立つ。
言葉もうまく浮かばない。徐々に思い描いた世界と違い、キャラクターたちが殺し合いを始めてしまった。
純愛……。これも一種の純愛なのかもしれない。
その人の愛と、あっちの人、こっちの人。
みんなそれぞれ違う愛を持ってる。
だから、否定はできない。
効率が悪い。
その言葉もまた否定はできない……のだと思うしかない。
実際の恋愛や、エロさ、ロマンス、極道、様々な知識が足りてないから限界ぎりぎりになって中身があっちによったりこっちにいったりとまとまらないんだ。
そう先生はいって、資料をいくつか渡してくれた。
読んで修行しろというのだろうけど、官能小説とか、似たような感じのばかりなのは先生の趣味なのかな?
これはこれで1つの思想に取り憑かれそう。
魅惑、誘惑、魔性。
「……」
でも、でも……そういうことかもしれない。
頭に書きたいイメージがそれたから、先生の言葉通りに限界ギリギリで路線が変わってしまった作品になった。
最初から1つの思想にこだわりがあるのなら、その方がいいのかもしれない。
その日から、しばらく執筆する時間を削り渡された本を読んでみることにした。
内容はあっちにいったりこっちにいったりと僕の書いたものと大差ないように感じたが、軸はズレてなかった。そこまでのあっちこっちが線でつながりを持ってる。
最後に死んでしまう主人公なんて今までの行動が裏目に出ただけだし、ヒロインはそのために魔性の魔女と呼ばれる存在まで落ちた。
僕のが短編だとしたら、借りた本は長編を書いてる。
そのぐらいの違いがある。
書いてることに違いはないのに、やりかたの違いが目立つ。
「……」
これじゃ叱られても仕方ない。
いくら選ばれたとしても、この先も選ばれるとは限らない。
そんな甘い世界じゃない。
周りを見ることはいいけれど、自分を見直せ。
先生はそういいたかったのかもしれない。
「ま、先生の性癖がわかったことが一番大きな収穫かな?」
憧れて弟子にしてもらったんだもの。
これもまた愛だよね?
……でも、登場人物が着てる下着に似てるのってどこに売ってるんだろう。あまり見かけない気がする。
心と感情 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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