10 二段ベッド争奪戦‼

夜。

また、si-ア-る-テ-i食堂に行った。(地元の人によるとシアルティーンっていうのが愛称らしい(どうでもいい。)。)

帰って来て、お風呂に入って、部屋に戻って来て。

今は二段ベッド上争奪戦だ。

「ちょっと!私初めてこんな二段ベッド見たんだから、私が上!」

「オレなんてあんなふかふかなバスだって座ったことなかったのに」

「私も同じ!」

「おれも同じ!」

「「「「はぁぁぁ……」」」」

あ。

バチッ。

不意に坂木さんと井下のほうを見ると、二人がバッチリ目が合っていた。

あ。

あ。

あ。

私には分かった。

よし。

「じゃあ、女子が上で、男子が下ね」

「…あ!それいいですね樹々さん」

「女子ズル」

「「ずるくない/です‼」」

「だって…」

私はそう言うと、井下に意味深な視線を送る。

すると井下は顔を赤くする。

図星。

よし、当てられた。

「じゃあ、どっちのベッドがいいか話し合いね‼」

そう言う。

「…ねえ坂木さん、井下が手挙げたときに挙げれば?」

「…あ、それいいですね、って、あっ」

「そんなに照れなくても~」

「うっ…知ってたんだね」

「うん。さっきの視線の交わり方で確信した」

「樹々って意外と敏感なんだね」

「意外とってどういうことよ~」

「あは」

「お~い女子軍団決まったかぁ?」

私は坂木さんと同時に頷く。

「じゃあ、左側がいい人~」

……シーン。

……ズル!

……と言っときながら、私たちも同じことしてるけど。

「じゃあ今度はちゃんと決めよ!」

また話し合い、今回はやっと坂木さんと井下が左側、私と蒼也が右側、ということになった。

ま、二分の一の確率だしね。


トランプをして、男女それぞれ恋バナをした。

ギリ私が蒼也のことを好き、っていうことはホントにギリ坂木さんに気付かれなかった。

良かったぁ。

そして、やっとベッドに入った時、私と蒼也は顔を見合わせて、

「「あ、思い出した‼」」

と言った。

え?何を忘れてたかって?

……言わなくても分かるっしょ。

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