★シーン13:夢の芽吹き(PC③)
〇解説
PC③の個別エンディングの例。
〇描写
『夢の国』消滅から数日。
噂の発信源だった「ジロー」というアカウントによる更新が無くなったこともあり、噂は下火になりつつあった。
『夢の国』に行ったきり、無断欠席が続いていた生徒も徐々に学校生活に戻りつつあった。栄養不良だった生徒はいたものの、奇跡的に死者は出ていない。『夢の国』内部での出来事も、皆まったくと言っていい程、覚えていなかった。
こうして生徒が戻ってきて明らかになったこと。
それは、学年主任が担当するクラスの生徒の欠席が、実は彼女によるパワハラ・モラハラを原因としていることだった。それにより学年主任はその任を解かれ、厳重注意。
減給も言い渡されるという事態になっていた。
ではその空いた学年主任の座に座るべきは誰か。
生徒のために、休日返上で調査を行ない、短期間で実績を治めた優秀な教師。
そうPC③だった。生徒指導と学年主任。面倒なことは彼/彼女に任せておけば大丈夫! という他の教師もうっすらと感じる人事が、発表されたのだった。
放課後。廊下を歩いていると、
「先生! 俺たちのために、『夢の国』まで来てくれたんですよね?」
声をかけてきたのはあなたのクラスで『夢の国』に行ってしまっていた生徒たちのリーダー格・遠藤習だった。
「他の先生から聞きました! その、ありがとうございます!」
と深々腰を折る。
「俺、先生みたいな教師になります! お礼とそれを言いたくて…。だから、その、勉強、教えてください!」
遠藤習の成績は決して良いとは言えない。今から教員免許の取れる学校に行こうとすると、かなり手間と時間がかかるだろう。
▶勉強を教える
「あざっす! それじゃあえっと…俺は何をすればいいんですか?」
▶教えない
「それじゃあ、見ててくださいよ! 先生の授業真面目に聞いて、一人でも行って見せます、大学に」
こうして夢を目指す子どもがまた一人。
そのささやかな芽吹きを、見守ることが出来る世界を守った実感が、あなたにもたらされるのだった。
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