★シーン7:昼のパレード(全員)

〇解説

 招いていないはずのUGNやオーヴァードの存在を悟った“悪豚”は策を弄することにしました。それはイベントと称して彼らを互いに争わせ、損耗させようというもの。もちろん隠れているオーヴァードのあぶり出しを行なう必要もあります。放ったジャームに対抗できる者や、この空間で冷静にイベントの情報を集めるものが怪しいでしょう。最終的に、弱ったオーヴァードを彼が仕留める、というものでした。すべては敬愛する“貪食”への供物を安定して供給するために。

 PC全員が接点を持つことが出来るシーン。


〇描写1

 中央にある湖に沿うように、円形に大通りがある。車であれば4車線は取れそうな広い道路を封鎖して、大きな山車が何台もやってくる。『夢の国』のマスコットである、つぎはぎ動物を模したその山車を囲むように、音楽隊が楽器を鳴らし、きらびやかな衣装を着たキャストが躍る。人々の歓声を浴びながら、パレードは進行していた。


※登場しているPCはここで〈意志〉7の判定を行なう。これは人々の熱狂と、『夢の国』全体にまかれた薬に打ち勝つための判定になる。成功すると、人々の熱がさすがに異常であると、冷静に判断できる。失敗した場合は熱気に飲まれ、満たされたような気持になり、テンションが上がる。ノイマンである木戸綾香もここに来て影響を受け始めている。


 「すごい熱気だな。なんだか気分が高揚してくる!」


 熱狂する人々、踊ったり、山車の上から手を振ったりするキャストの中から“悪豚”を探す。しかし人垣のせいで、山車の上部以外がほとんど見えない。


 「もう少し近くに行くしかないか。PC②、PC④。人垣の前に出よう。そこで出原を探す」


 あなた達はパレードに熱狂する人々の波に突撃するのだった。


 ※能力をうまく使ったり、力で押し通ったりして人垣を突破。


 人々にもまれ、途中、木戸綾香と離れ離れになってしまうPC②とPC④。しかし彼女もオーヴァード。すぐに追いついてくるだろう。




○描写2

 一方、パレードを見に来ていたPC①とPC③。後から後からやってくる観客に押され、気づけば人垣の前、最もパレードが見やすい位置に来ていた


 あなた達が人垣の前に出ると、一番豪華な山車が近づいて来る。城の形をしたその山車の頂上。テラスを模した場所から、姫役であろう黄色いドレス姿の少女(“貪食”)が手を振っている。


「姫様だ!!」 「姫様、こっち向いてー!」 「今、私に手を振ってくださったわ! 幸せ!」


 彼女を見た観客たちは一様に興奮を増し、嬉しさのあまり倒れこむ人々までいる。軽快な音楽は音量を上げ、姫役を乗せた山車はアーケード街と交差する道で止まった。

 やがて恰幅のいい男が壇上に躍り出る。UGN関係者であるPC②④から見れば“悪豚”、PC①とPC③から見れば先ほど、楠木夏織を勧誘しに来たキャストだと分かる。彼の腕には、何かが抱えられていた。


 「さぁて、皆さま! 盛り上がっているでござるか?」


 その声に、景気よく声を返す観客。それを受けて、でふふ、と笑った彼は


「この度、こちらでイベントを用意させてもらったでござる!」


 と抱えていたものを皆に見せる。それはロープで拘束され、猿ぐつわをされたPC④の先輩、木戸綾香だった。何らかの理由で拘束されてしまったようで、その顔には悔しさがにじんでいる。


 「どうやら今、この国に悪い奴らが入り込んでいるようでござる。こいつの仲間を倒す勇者の選定を、行なうでござる。こいつのお仲間さんは動かない方がいいでござるよ? こいつがどうなってもいいでござるか?」


 それを聞いて人々がざわつく。


 「選定の方法はこうでござる!」


 その声とともに壇上にピンク色の煙が焚かれる。それが晴れると、一人の少女――楠木夏織が立っていた。その表情からは生気が抜け、人形のような印象を受ける。


※以下セリフ

 「今からこの少女をこの国のどこかに隠すでござる。彼女はさる国の王女ということにするでござる。彼女を助けた勇気あるものに、今夜の水上パレードで勇者として賊と戦ってもらうでござる!」

「情報はパーク内のキャストが握っているでござる。いいでござるか? 余計なことをすれば、王女は永遠に帰ってこれなくなるかもしれないでござるよ?」


 暗に人質だと念を押す男性。人々は面白そうだと、イベントを楽しむ気満々。


※以下セリフ

 「それでは恒例の、教師役鬼ごっこも始めるでござる。捕まったものには、姫様の教育係をしてもらうでござる! 今回は4体『鬼』を放つでござる」

 「それじゃあ行くでござる。せいぜい、がんばるでござるよ!」


 こうしてまた、パレードは動き出す。同時に、またしてもピンクの靄がかかり、視界を奪う。それが晴れると、パレードは消え去っており、代わりにつぎはぎマスコットが立っていた。

 しかし、それは、入り口付近に立っていたものとは様子が違う。

 人間離れした脚力で人々を追うマスコット。捕まえた人の腕を簡単に折るその姿からは、明らかにレネゲイドの力が漏れ出ていた。

 もちろんそのマスコットは、あなた達も襲ってくるのだった。



※ミドル戦闘開始。「『ジャーム:クラッシャー』(Ⅱ)P.264」4体と戦闘。エネミー2体ずつで1つのエンゲージを形成。そうしてできる2つのエンゲージを5mの距離を離して、横に並ぶように配置する。その後、PC2人ペアのエンゲージをそれぞれのエネミーの前方5mの位置に配置する。この時、PCのエンゲージ同士の距離は任意。



 戦闘後、なんだなんだと戦闘の跡を人々が見ていた。しかしそれもイベントなのだろうと、彼らは観光を再開していく。不思議なことに、先ほど恰幅のいい男が言ったイベントを進めようというものはいないように見えた。


 戦闘後は各PCが了承したところでシーン終了。情報収集2へ。

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