★シーン6:始まる異変(PC①,③)

〇解説

 夢の国に来たPC①とPC③。楠木夏織が偶然PC③を見つけたことで、3人は行動を共にすることになります。差し当たって、ショッピングをしていた3人のもとに、“悪豚”出原次郎が接触してくるのでした。

 PC①とPC③との接点を作るシーン。PC③がPC①達と行動しない場合、描写はうまく調整してください。


〇描写

 「すごい! ここが『夢の国』!」


 都市伝説が現実になったとテンションが上がっている様子の楠木夏織。入場ゲートから見える壮大なパークを見渡していた彼女が不意に、ある人物を見つける。PC①と楠木夏織が通うK高校で教師をしている、PC③だった。


 「あれ、PC③先生だ。おーい!」


 とPC③に向けて手を振る。


※以下セリフ

 「先生、ここで何してるんですか? もしかして、先生にもチケットが届いたとかですか?」

 「私らは都市伝説を検証しに来たというか、そんな感じ…?」


 とPC①に目配せする。


 「良ければ一緒に回りましょうよ。何かおごってくれると高校生二人としては、ありがたいです」


 同意を求めるように楠木夏織はPC①を見る。




 まずは目の前にあったパークの南側、レストランや店舗が並ぶあたりを散策することにしたあなた達。


 奇妙なことに、どの商品にも、メニューにも、値札が貼られていない。店員に値段を聞いてみれば、どれも無料だという。


※ここでPC①③は〈知覚〉7の判定を行なう。成功すると、薬品のようなにおいがパーク全体を包んでいることに気付く。楠木夏織にはもうすでに、薬品の効果が出始め、においにも値札にも違和感を覚えない。


 「タダなんだ。折角だし、一個だけキーホルダーもらっとこうかな」


 そう言って大量に垂れ下がっていた奇天烈マスコットのキーホルダーをかばんにつけている。




 店から出たあなた達。するとキャストの格好をした恰幅のいい男性が楠木夏織に声をかけた。


 「でふふ、いいお客さまを見つけたでござる。よければ昼のパレードに出てほしいでござるよ」


 その問いに対して、彼女は考える間もなく「いいですよ」と肯定した。


 ※ここでPC①③は〈意志〉7の判定を行なう。成功すると、彼女の様子がおかしいことに気付く。失敗した場合、なんとなくそんな感じだったかな? と彼女と“悪豚”のやり取りを受け入れてしまう。なお、この時点ではPC達がオーヴァードであることに“悪豚”は気づいていない。PCが反抗的な態度をすることでようやく、オーヴァードだと認識する。


▶楠木夏織にアクションを起こさない。

 「ささ、こっちに来るでござるよ。折角『夢の国』に来たでござる。みんなに幸せになってほしいでござるな!」


 そう言って恰幅のいい男は、楠木夏織をスタッフ専用と書かれた部屋へ案内していく。昼のパレードは正午近く。今から昼ご飯を食べれば、ちょうど良い時間になる。あなた達はパレードを前に軽く昼食をとることにした。


 注文したものを受け取り、席につく。すると、どこからかファンファーレが聞こえてくる。続いて流れたアナウンスによれば、どうやら昼のパレードが始まろうとしているようだった。

 さきほどの話によれば、そこに楠木夏織も出る。友人の、生徒の晴れ舞台を見るために、あなた達はパレードを見に行くことにした。



▶楠木夏織にアクションを起こす。

 あなた達の行動を受けて、楠木夏織はハッと驚いた顔になる。同様に、予想外のことが起きたと言わんばかりに、恰幅のいい男も驚いていた。


 「やや、これは異常事態でござるな。拙者は用を思い出した故、係員室に戻るでござる」


 手近なスタッフルームに男は消えて行った。


 「ごめん、ボーっとしてたみたい。それで、何の話だっけ?」


 どうやら楠木夏織は先ほどのことを覚えていないようだった。とにかく満たされたような、全てを受け入れられるような全能感があったと、語る。


 「とりあえず、ちょっと休憩していい? テンション上がって貧血起こしたかも…」


 PC①に確認する。その後「先生もいいですか?」とPC③に確認する。

 とりあえず近くにあったカフェで、あなた達は小休憩することになった。


 『夢の国』に来てまだ時間はそれほど経っていないにも関わらず、少し疲れた様子で机に上半身を預けている楠木夏織。そんな状態でもしっかりとストローを加え、マンゴーミルクラッシーフラペチーノなるものを飲んでいる。


 そんな彼女を見守っていた時、あなた達のいるパーク南の商業エリアに、ファンファーレが鳴り響いた。続いて流れたアナウンスによれば、どうやらパレードが始まろうとしているようだった。

 昼のパレードは大型の山車が、日替わりで東西南北の大通りを通ることになっている。今日はあなた達のいる南側で行なわれるようだ。


 「パレード…私はもうちょっと休んどくから、代わりに写真、撮ってきてよ。せっかく来たんだし、楽しんで?」


 PC①にお願いする。少し無理した笑顔。パシリというよりは純粋に、都市伝説の場所に来て、今の自分に付き合わせていることへの申し訳なさがうかがえた。もちろん、パレードを見たいという願望も、多少はあるだろうが。


 「先生も、私らとは違って、理由があってきたんじゃないですか? 見たところひとりだし」


 パレード、ということは人が集まる場所でもある。PC③が探す生徒たちも、そこにいるかもしれない。


 「私はここで待っとく。その後はまた、一緒に回ろ?」


 大丈夫だと念押しする楠木夏織をひとまず置いて、あなた達はパレードを見に行くのだった。

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