★シーン3:招待チケット(PC①)

〇解説

 秋も深まるある日。PC①の家に黒い封筒が届く。それは夢の国への招待チケット。翌日、同様にチケットを手にした友人の楠木夏織と、郊外にある『アトラクションパーク』という遊園地の跡地に行く約束をします。そして週末。遊園地跡地へと向かうバス停には、同じく招待チケットを持った人々。車道には遊園地跡地へと向かう渋滞ができていました。

 PC①の導入シーン。チケットは“悪豚”出原次郎の持つモルフェウスの能力によってつくられた物。切ったり、燃やしたりすることは出来ません。


〇描写1

 気温が下がり、遠く見える山の稜線が色づき始める季節。

 あなたの通う学校でも、服装の調節期間が終わり、全員が冬服を身に着ける、秋も中旬。

 学校から帰ったあなたがポストを見てみると、見慣れない黒い封筒が投かんされていた。金色で縁どられ、朱色の封がされた封筒。家に戻って中を確認してみると、「夢の国へようこそ!」と大きく書かれた紙切れが一通、入っていた。

 その紙切れの隅には日付も書かれており、チケットは当日のみ有効になっているようだった。


 翌日、登校したあなたを見つけた友人・楠木夏織くすのきかおりがあなたのもとへやってきた。


※以下セリフ

 「PC①って、夢の国の噂…知ってる?」

 「特定の日に、遊園地だった場所に行くと、不思議な遊園地に行くことが出来るんだって。その遊園地がとても面白い場所らしいんだけど…」

 「実は昨日、これがうちに届いててさ…」


 そう言って彼女が見せたのは昨日あなたも見た、黒い封筒。


 「その遊園地のチケットだと思う。ここ見て」


 彼女が指示したのはチケットに書かれた日付の場所。それはあなたの家に届いたチケットと同じ、今週末の土曜日を示していた。


 「それで、なんだけど。この日、暇だったら一緒に行ってみない? チケット一枚で何人入れるかはわからないけど…」


 あなたが了承すると、楠木夏織が安心したように笑う。


※以下セリフ

 「良かった。じゃあ、朝九時、駅前待ち合わせでいい?」

 「都市伝説の場所にいけるかもしれないんだ…。なんか楽しみ」


 こうしてあなた達は噂の場所『夢の国』へと行くことになった。



〇描写2

 週末の土曜日。それは楠木栞との約束の日でもあった。あなたが駅前に行くと、待ちきれなかったのか先に楠木夏織が待っていた。


 「楽しみで少し早く来ちゃったし。それじゃあ、行こ?」


 電車に揺られること一時間弱。郊外にある駅で降りる。

 かつて遊園地があったこともあり、駅前は比較的栄えている印象を持つ。しかし、駅から数分行くだけで急速に寂れていき、十分も歩けば田んぼが目に付くほどの場所。


 「えっとバスは…、あそこだ! あの人たちも夢の国に行く感じかな?」


 駅前にあるバスのロータリー。今や遊園地の跡地と山道しか見どころがない方面へ向かうバス停には、しかし、少なくない人々がいた。中には黒い封筒を手に、周囲に自慢する人も目に付いた。


 「とりあえず並ぼっか。次のバスまであんまり時間ないし」


 楠木夏織の言うように、すぐにバスが来る。狭苦しい車内で揺られ十数分。数年前まで『アトラクションパーク』と呼ばれた遊園地があった場所。

 近づくにつれ、駐車場が封鎖されていようがお構いなしという車で、ちょっとした渋滞も起きていた。そうして予定から遅れること数分。あなた達を乗せたバスはついに「遊園地前バス停」に到着したのだった。

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