★シーン2:無断欠席者(PC③)

〇解説

 PC③が務める学校で相次ぐ、長期無断欠席者。彼らの親によれば、その多くが「夢の国にいく」と言ったきり帰って来ていないようでした。生徒指導を受け持っていたPC③はその流れで、噂の調査と欠席者の安否確認等を指揮することになるのでした。

 PC③の導入シーン。チケットは“悪豚”出原次郎の持つモルフェウスの能力によってつくられた物。切ったり、燃やしたりすることは出来ません。


〇描写

 新学期も始まり、中間テストの採点が忙しい秋の中旬。教師であるあなたは暫定的な成績処理をしていた。


 「また、『夢の国』に行ったままですって…これで何人目でしょう?」


 眼鏡をかけた学年主任の先生が、ヒステリックに叫んでいた。

 彼女を含め、今学校全体で問題となっているのが、生徒たちの間で広がる『夢の国』の噂。入場チケットをもって、特定の日に遊園地の跡地に行くと、『夢の国』と呼ばれる遊園地に行くことが出来る。

 そこはまさしく、楽しさと幸せを味わえる場所だというのだ。少し前からSNSを中心に急速に広がる噂は、一部の生徒がそこに行ったまま帰って来ないという状況を作り出していた。


 あなたのクラスでも、数日前から遠藤習えんどうしゅうをはじめとするグループが無断欠席の状態でいる。親に確認をとってみれば、やはり、「夢の国に行ってくる」と言って出ていったきり、まだ帰って来ていないようだった。


 「PC③先生! 聞いていますか! 生徒指導も任されているんです、きちんと対応してください!」


 学年主任があなたを名指しして言ってくる。彼女のクラスは特に、欠席者が多かった。


 「そういえば生徒から相談があって、これ受け取ったんですけど…」


 学年主任の小言が途切れたタイミング。

 話の流れを受けて、隣のクラスの男性教師があなたに、小さな紙切れを渡す。そこには大きく「夢の国へようこそ!」と印刷されている。これが『夢の国』に行くために必要なチケットだろうと想像できた。


 「昨日、その生徒のポストに届いたらしくて…噂を知っているからこそ、怖くなったと言っていました。多分必要になるでしょうし、渡しておきますね」


 そして放課後の緊急職員会議。議題は学年主任が声高に叫んでいた『夢の国』と欠席者について。

 欠席者についてあなたが受け持つ学年、主に学年主任のクラスが多いこともあって、生徒指導を受け持つあなたが調査の指揮を執ることになった。

 ただでさえ忙しい通常業務に加え、部活動の顧問以上に面倒な仕事。

 指揮を執るとは名ばかりで、他の教師は協力を渋り、ほぼあなたが独りで調べることになった。


 そして週末の土曜。男性教師に渡されたチケットに書かれていた日付。教師として、生徒の安否を確認する必要がある。

 また、オーヴァードが関わっている可能性も十分にあり、一般人を巻き込むのはためらわれる。あなたは単身、最寄りの廃遊園地『アトラクションパーク』を目指すのだった。

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