★シーン1:“悪豚”と“貪食”(PC④)

〇解説

 ある日、先輩エージェント・木戸綾香きどあやかに呼び出されたPC④は呼びだしの理由と、“悪豚”逃走のあらましを聞きます。そうして訪れた逃走現場。そこには脳しょうを抜き取られた(食べられた)悲惨な死体が眠っていました。それを行なったという少女、彼女と消えた“悪豚”の被害者をこれ以上増やさないために、PC④と木戸綾香は二人を追います。一か月後、ついに見つけた手がかり。それは『夢の国』という都市伝説の場所で撮影された、一枚の写真。奇跡的に手に入れたチケットを手に、最寄りの遊園地跡地『アトラクションパーク』へと二人で向かうのでした。

 PC④の導入シーン。チケットは“悪豚”出原次郎ではらじろうの持つモルフェウスの能力によってつくられた物。切ったり、燃やしたりすることは出来ません。


※一部グロテスクな表現があります。


〇描写1

 秋のはじめ。

 夏の暑さがようやく落ちつき、人々が衣替えを始めようという季節。


 『“悪豚”出原次郎ではらじろうが現れた』

 その一報を受けたあなたは、昨夜彼が逃げ込んだというK市駅前を訪れていた。近くに中華料理屋があるコンビニの前で、先輩エージェント・木戸綾香きどあやかがあなたを迎える。彼女はすぐそばにあった路地を歩き始めた。道中、彼女が昨夜のあらましをあなたに伝える。


※以下セリフ

 「昨夜、この先の行き止まりに“悪豚”と呼ばれるFHエージェント・出原次郎を追い詰めた。しかし、そこでイレギュラーが発生した」

 「やつが逃げ込んだ先に、少女がいたらしい。出原が少女を組み敷き、押さえつけた」

 「一般人だと判断したエージェントたちは少女に退避を指示したが、彼女はオーヴァードだったようだ。自力で出原の拘束を解いた。まではいいんだが」

 「問題はここからだな。エージェントたちいわく、その後、少女は人の脳を喰っていたらしい。確かに今、向かっている現場には、その、なんだ…頭と言うより脳が無い死体があった。それも複数体」

 「もし本当なら、正気の沙汰ではないな…。だが、エージェント数名が精神に異常をきたしている。状況的には真実なのかもしれん」

 「しかも、だ。食後、その少女と“悪豚”が二人でどこかへ消えたらしい」

 そこで黄色い規制線が貼られた路地裏が見えてくる。

 「呼んでおいてなんだが、現場は見なくてもいい。正直、私が状況を整理する話し相手が欲しかっただけなんだ」

 「どうする? 確認するか?」


▶確認する場合以下を描写 ※グロテスクな描写です。

 「そうか。私はここで待っておこう。何度も見るものではないからな」

 規制線を越え、件の路地裏へ。遺体は隅の方で安置され、発見された場所にはロープで人型が描かれている。地だまりや血しぶきが地面や壁にできており、時間が経って黒く変色していた。夏ではなかったことがせめてもの救いかもしれない。

 遺体は、マネキンのようでもあった。頭蓋が頭皮ごとめくれ、中にあるはずの脳しょうが無い。視神経が脳から千切れ、頭部を動かすと目玉が転がった。そのような状態の遺体が3体。静かに安置され、迎えを待っていた。


 現場を後にし、コンビニで買った暖かい缶コーヒーを木戸綾香があなたに渡す。

 「引き続き、出原と少女の行方を追う。これ以上、あんな悲惨な被害者を出すわけにはいかない…」

 それぞれの決意を胸に、あなた達は“悪豚”出原次郎と、数日後に“貪食”と呼ばれるようになった少女を追うのだった。 ※望むなら“悪豚”と“貪食”に対するロイスを獲得。



○描写2

 それから1か月。

 なかなか目ぼしい情報が見つからないあなた達のもとに、“悪豚”の目撃情報がもたらされる。それは『夢の国』と呼ばれる、都市伝説にもなっている遊園地で撮られたという写真。

 SNSにあげられたその写真に、彼に似た人物が写っていることをUGNが発見したのだった。

 しかし写真はブレブレで、『夢の国』というのも眉唾ものでしかないが、ようやく得た手がかりでもある。


 「その『夢の国』に行くには、特定のチケットを人数分もって遊園地の跡地に行く必要があるらしい」


 パソコンの画面を確認しながら、あなたと木戸綾香は夢の国の情報を集めていた。


 「遊園地の跡地か。そう多くは無いだろう。ここからだと…ああ、『アトラクションパーク』か。私も小さい頃は両親とよく行った場所だ」


 マップを確認し、近くの遊園地跡地を探すと、K市にある『アトラクションパーク』が一番近そうだった。


 「チケットは、フリマだな。どれどれ…。あるにはあるが怪しいものばかりだな」


 フリマのサイトとにらめっこしていると、


 「『夢の国』のチケットってこれっすよね? 先輩たち、興味あるならどうぞっす」


 隣で作業していた後輩エージェントが金色で縁どられた黒い封筒を二つ、あなた達に渡してくる。


 「なんか親のとこに送られてきたらしくて、『彼女と行けー』って俺のとこに来て。でも俺、彼女いないし興味もないので良ければどぞっす」


 “悪豚”と“貪食”を追い続けた二人の努力が生んだ偶然。

 こうして、週末。あなた達二人は、K市郊外にある今はなきアトラクションパーク。その最寄り駅「遊園地前バス停」で降りたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る