★シーン4:守るべきもの(PC②)
〇解説
受験生を持つ家族の、何気ない日常。そこに届いたのは『夢の国』への招待チケット。PC②はUGNから噂とFHの暗躍を知らされます。悪意あるオーヴァードから人々を守るために、PC②が『夢の国』へ向こう所でシーンを終了します。
PC②の導入シーン。PC側に特にこだわりがない場合、妹はオーヴァードではなく、その存在も知らない一般人として扱います。
〇描写
「ただいまー」
言いながらリビングのソファに倒れこむ妹。季節は秋。日も短くなり、外はもう真っ暗と言っていい時間。部活も引退し、受験生ということもあって、妹は図書館が閉まるギリギリまで友人と勉強する日々が続いている。そのため、あなたよりも帰りが遅くなることがここ最近は少なくなかった。
両親が亡くなって数年。家事は当番制になり、今日の料理当番はあなた。しばらく倒れこんでいた妹だったが、ソファからむくりと起き上がると、
「勉強で疲れた妹をおもんばかった、優しい料理を所望します!」
と今晩の希望メニューを伝えて来た。
一度自室に戻り、着替えてきた妹。点けっぱなしのテレビを見ながら、晩ごはんができるのを待っていた。
「この子、この前のドラマに出てた子だ! 可愛いな~。なんて言うんだろ? よつみや、じゃなくてしのみやひなちゃんって言うんだ!」
あなたが料理をしていると、スマホを見ていた妹が「あ、そういえば」と声をあげる。
「これ、ポストに入ってたんだけど…心当たりある?」
字面だけ見れば、浮気を疑う恋人もの。しかしその手にあったのは恋文でも、現場写真でもなく黒い封筒。金色に縁どられた、どこか不思議なその封筒には朱色の封蝋がされていた。あなたにも妹にも、それが届く心当たりはない。
「外国からのお手紙とか? 開けてみてもいい?」
「こ、これ! 『夢の国』に行くチケット!」
封を解くと、中には紙切れが入っていた。でかでかと「夢の国へようこそ!」と書いてあり、隅には日付が印刷されている。『夢の国』というのは行くと幸せになれる遊園地で、行くためにはチケットが必要なのだと妹が教えてくれた。
「あ、でもこの日は勉強会だー。息抜きに行く? でもなぁ…」
印字された日付を見て、彼女は百面相している。悩んだ末、
「私、行かない。もし行って受験落ちたら、絶対、後悔するから。国公立、受かりたいし」
妹の意志は固いようだった。両親が死んで、家計は必ずしも安泰とは言えず、高校の授業料も馬鹿にはならない。本人は言わないが、そうしたことを考えての国公立志望だということは、塾に通っていないことからもうかがえる。
「代わりに行ってきてよ! 2枚あるし会社の人とか、いるなら好きな人とか、恋人さん…とか、誘ってさ…」
しりすぼみに威勢をなくしていく言葉。
その時、あなたの携帯が鳴る。相手はUGNの上司だった。内容は調査依頼と確認。K市郊外の『アトラクションパーク』跡地でFH“悪豚”に動きがあることと、『夢の国』の噂について教えてくれる。調査しようにも「チケット」と呼ばれるものが必要で、それが届いていないか確認の連絡だった。
あなたがそれに応じ、電話を切ると、妹のお腹が鳴る。
「あはは、恥ずかし。…晩ごはん、食べよ? チケットは好きに使って! ほんと、気にしてないから!」
過ぎていく何気ない日常。そのそばで暗躍するFHエージェント。幸運にも手にした事件解決への糸口。悪意から人々を、家族を守るために、あなたは郊外へと向かうのだった。
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