エンディングフェイズ

★シーン10:幸せの在りか Good end

〇解説

 “悪豚”を打ち倒し、戦闘を終えたPC達。“貪食”は彼が倒れた際に発した言葉を聞き逃しませんでした。悪豚は確かに「幸せ」と口にしたのです。幸せを知るために、“貪食”は彼を連れ去ります。そしてまた食事をする彼女は、幸せの在りかを追うのでした。

 “悪豚”出原次郎を倒した際のグッドエンドの例。


〇描写

 巨体が倒れ、


 「拙者、姫様の、神様の役に立てて幸せでござった」


 満ち足りた笑顔で倒れこむ男。能力は弱まっていき、彼によってつくられていた遊園地の施設がゆっくりと崩れていく。

 それは水上ステージも同じで、揺れによって立っていられないほどだった。それが男の計算だったのかはわからないが、木戸綾香はもちろん、あなた達も戦闘で疲労が蓄積し、うまく動けない。


 男を取り逃がす――。

 そう覚悟した時、彼に歩み寄る影があった。それは姫様と呼ばれていた少女。彼女がつま先でステージをたたくと、『夢の国』の時が止まったかのように全ての人・物が動きを止める。ただしあなた達の意識はきちんと事象を捉えていた。


 「幸せを、知ったのですね、ジロー」


 先ほどジローと呼ばれた男が発した一言。彼は確かに幸せだと口走った。それに今気づいた男の顔は一気に青ざめていく。しかし今、この領域の支配者によって、声を出すことも、震えることさえ許されていない。


 「あなたが、私に教えて、くれるのですね?」


 髪を引っ張りながら彫像のように動かない彼を引きずり、少女は歩いていく。やがてどこからか扉を出現させると、


※以下セリフ

 「そういえば、あなた達に、お願いがあり、ます」

 「私の仲間を、見つけたときは、導いてあげて、ください。今回、私をジローのもとに、導いてくれた、ように」

 「それともし、幸せを見つけた時は、私に教えて、ください。きっと幸せを、永遠にして、あげます」

 「それでは失礼、します。また、会いましょう、ね?」


 人を知るために、心を知り、幸せを知る。その日が待ち遠しいと。どこまでも楽しそうに、嬉しそうに。


 少女は男――食材を連れて去って行く。


 その時、見せた表情。

 それこそまさしく、幸せそうな顔だった。

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