金色カプセルその後

 ミネラルショーからの帰り、自分はホクホク顔で家に向かっていた。

 この前三万円をドブに捨てることになったが今回だいぶお買い得にいい石をゲットできたので、プラスマイナスでギリギリゼロになったと言っていいだろう。

 将来の伴侶であるらしいあの男の影も形も今のところはない。

 というかあれって本当に将来の伴侶だったのだろうか、実はあのガチャ、開発されてからまだ日が浅いから本当に正確なのかどうかはまだよくわからないというのが世間での評価だったりする。

 案外、未来の世界ではとんでもない詐欺だった、とかになってるといいな、と思っていたら左肩に衝撃が。

 顔を上げるとガタイのいい、見るからにカタギではなさそうなおっさんと目があった。

 ひえ、と思わず声が漏れる、それと同時に大声で罵倒された。

 どうしようとおろおろしていたら、おっさんの身体が吹っ飛んだ。

「大丈夫?」

 と、聞こえてきた声に聞き覚えがある気がして、ゆっくりとそちらに顔を向ける。

 金色のカプセルから出てきた男にそっくりな青年が立っていた。

 現実逃避にすっ飛んでいったおっさんの方を見ると、白目を向いて完全に気絶していた。

「怪我はない?」

 にこにこ笑顔で聞いてきた青年に「だいじょうぶです。アリガトゴザイマス」と辛うじて頭を下げて、ゆっくりとその場を立ち去ろうとしたが、がしりと肩を掴まれた。

「助けてあげたんだからさあ、ちょっと付き合え?」

 いいえと言いたかったが、これは言わせてくれない雰囲気だ。

 つーか怖いんですが?

「にしてもお前、ダッセェな」

 どうしようかと停止しかけている思考をなんとか総動員させていたら、青年がこちらの服装とか顔をじろじろと見ながらそんなことを小さく呟いている。

 ダッセェと思うならもう帰らせてくだされ。

 とは思ったものの、有無を言わさない表情で「な?」と首を傾げられたら思わず首を縦に振っていた。

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