第25話 涙の決戦(中編)
「どうしてだぁぁぁ!?我の闇巨神がぁぁ!人間ごときの魔法吸収にオーバーヒートするなどぉぉぉ!ありえないぃぃぃぃ!」
ベルセは、怒り狂いながら自分の髪をグシャグシャに掻きむしる。
「くぬぬぅぅぅ!……うん?…………フ……フハハハハッ!まだ我の闇巨神は復活するぞぉぉ!どこのバカか知らぬが、我の召喚精霊を狩り続けた者がいたらしいな!また闇巨神を呼び出せるっ!」
「そんなっ!?」
フレイヤ女王は、計算外の発言にベルセのブラフと信じたかったが、その希望は見事に打ち砕かれた。
「さあ!再び出でよ!闇巨神よぉぉっ!」
ベルセの古代詠唱で再び強大オーラが集結していく。
「ヌオオオオッ!」
再び、闇巨神の雄叫びが闇夜に響き渡った。
「こ、これはさすがにヤバいぞ!シーラ!レイブン!まだMPに余裕はあるか?」
フェリックスは、再び盾を構え直して問う。
「いやいや!おいらはもうほとんど残ってないぞ!」
「私だって……いくら能力が3倍に強化されていてもMP回復が追いつかないわ!」
レベルMAX勇者達の言葉は、ルビ達にも動揺を与えた。
「なんと言う事じゃぁぁぁ!いったい誰じゃ!誰が召喚精霊を狩ったのじゃ?」
「嘘だろ?本当にまた現れたぁぁ!」
ルビは、悪い夢でも見ているかのようだと肩を落とす。
「間に合ったぁ!やっとレベルMAX勇者に成れたわよ!」
「アーネっ!?」
桜花は、すぐ横で仁王立ちする泥まみれのアーネに驚くっ!
「どこへ行ってたんだ?うん?レベルMAXになった?どこで?……ま、まさかアーネ!?お、お前が犯人かぁぁぁ!?」
「アーネ!利敵行為だぞ!どういうことだ?」
さすがのフレイヤ女王も冷静ではいられなかったようで憤慨する。
「心配ご無用!フレイヤ女王様、見ていて下さい。ルビ、『能力3倍強化』をお願い。」
「その手があったか!『能力3倍強化』は、レベルMAX勇者であれば誰でも強化できるからの~だから対策会議の時に召喚された勇者でなくても強化できるかとわしに尋ねたのじゃな~」
タマは、なるほどと納得する。
「あぁ、あの時か!その為にレベルMAX勇者になったと?いや、しかしだ!他のレベルMAX勇者は、MP切れだぞ!いくら何でもアーネ1人だけでは無謀だぁ!」
「私を誰だと思ってるの?私は天才!全て計算済みよ!いいから早く『能力3倍強化』を!」
「もうどうなっても知らん!能力3倍強化ぁ!」
ルビが念じるとアーネの体が、赤い炎のようなオーラに包まれていく!
「うはぁぁぁぁ!想像していたのとは、違うけどぉ~これいいね!おへその底から魔力のみなぎりを感じるわ!」
アーネは、最大までテンションが上がる。
「フハハハハッ!何かと思えば、そんなバカな小娘が1人増えたところで何ができる?」
ベルセは、わざわざもう一度、闇巨神召喚の手伝いをしてくれた愚かな娘だと嘲笑う。
「私は、大賢者アミーの娘にして火力魔法特化勇者よぉ!いけぇぇぇぇぇぇっ!極大ブレイズゥゥゥアロォォォォ!」
ブバアァァァァァァァァァァッ!
アーネの両手から闇巨神さえも包み込むであろう巨大な赤い輝きが放出されていくっ!
「くぉっ!?」
ベルセの短い呻き声は、『極大ブレイズアロー』の輝きの中に消えていった。
闇巨神をその輝きに巻き込みながら……。
ドゴォォォォォ!
闇巨神は、その凄まじい威力にオーバーヒートどころか、魔法吸収する前に粉々に砕けていく!
そして、その赤い輝きは後方の女王ベルセさえも襲ったのだった。
凄まじいい爆風が辺りを包み込み、不意を突かれた兵士達は吹き飛ばされて行った。
しばらくしても城壁の外は、熱い爆発の熱気が支配していた。
「ふぅぅぅ……もうMPがほとんど残ってないわ……」
アーネは、ぺったりと座り込んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます