第24話 涙の決戦(前編)

シーラとレイブンを中心とした3倍魔法攻撃が続いていた。


当然のこと闇巨神に対してである。


シーラとレイブンに闇巨神の攻撃が及ばないように、フェリックスが奥義パーフェクトシールドを発動していた。

もちろん、そのガード力も3倍であった。


「フハハハッ!何だそれは?闇巨神に魔力を捧げるとは?『ありがとう』のお礼でも言って欲しいのか?人間とはいつまもで愚かなままだな!」

女王ベルセは、無駄な抵抗を続けている勇者達を嘲笑った。


「勝手に言ってれば!何百年も生き続けているのに無茶な若作りしたダークエルフのお婆さん!」

「ガキがぁぁぁ!生意気言ってんじゃないぃぃ!」

ドゴッ!ズガガンッ!


「うおぉぉぉ!」

フェリックスは、必死に闇巨神の猛攻から耐える。

シーラの挑発は、成功している。


だが、アーネにおばさん呼ばわりされた憂さ晴らしをしているように男性陣が確信したのは秘密だ。

そんなこと後にも先にも言えるわけがなかった。


(いいぞぉ!シーラのストレス発散を兼ねた挑発で全体の被害は少ない。このままだ!このまま気づくなよ。)

ルビは、城壁の入口に隠れながらそう念じた。


最後にMP回復してから30分が経過した為、また追加でMP回復ポーションを飲んだ。


桜花は、またルビにMP回復ポーションを渡す。

「ありがとう。」

ルビは、そのポーションを鞄に入れる。


そうこうしている間に闇巨神に異変の兆候が表れた。

パリパリリッ!


「まだまだぁぁぁ!うおおおっ!」


「はあぁぁぁぁぁっ!」


レイブンとシーラが最後の力を振り絞る!

さすがのレベルMAX勇者でも連続3倍魔法攻撃は、かなり辛そうだった。


パリパリパリリリッ!


(闇巨神に異変が!もうすぐだ!こんな時にアーネはどこへ行ったんだ?『能力3倍強化』スキルがレベルMAXの勇者にしかできないからって……)

ルビは、アーネが敵前逃亡をする勇者とは絶対に考えたくなかった。


パリパリッ!ピシッ!ピキピキッ!


「なんだっ!?どうして?……闇巨神に亀裂がぁ!?奴らの攻撃は、全て吸収しているはずだぞぉぉぉ!」

ベルセは、理解不能な状況に醜く顔歪め喚き散らす。


「タマ殿の言う通りだったな!闇巨神の弱点は魔法攻撃による魔法吸収オーバーヒート!」

フェリックスは、タマの知識に感服していた。


「そうじゃ。闇巨神……あの魔法吸収タイプには、決定的な弱点があるのじゃ。言うなればアレは、魔法風船なんじゃよ。まもなく破裂するはずじゃ。」


パキパキッ!ピシッ!ピキッ!ピシーーーーーッ!


次の瞬間、闇巨神全身の亀裂が連なり、その動きが止まった。


バァーーーン!


そして、破裂崩壊したのだった。


闇巨神だった塊からは、黒いオーラの魔力が次々と飛び散った。


「まったく汚い花火だぜ!」

「そうね~見れたもんじゃないわ。」

フェリックスとシーラは、まるでデートの花火を見るように横並びに見つめた。


「お見事っ!さすがはレベルMAX勇者達!残るは女王ベルセだ!」

フレイヤ女王は、覚悟と言わんばかりに女王ベルセを指差した。


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