第23話 闇巨神
闇巨神の雄叫びは、兵士達の戦意を大きく減少させた。
「うわぁぁぁぁ!ば、化け物っ!」
「こんなの勝てるわけがないぃ!」
「怯むな!我らは大魔王軍をも退けたのだ!それにこちらには勇者が4人もいるのだぞ!」
フレイヤ女王は、兵士達を鼓舞するが、闇巨神の一撃でそれは無駄に終わる。
ドゴォッ!
闇巨神が、両手を組み城壁に上から攻撃を加えたのだ。
ガラガラガラ……。
崩れ去る城壁に巻き込まれた兵士達が次々と落ちていく。
「ひぃぃぃ!た、たすけ……あぁぁぁぁーー」
「フレイヤ女王様ぁぁぁぁーーーお逃げ下さいぃぃーーー」
「フハハハッ!なんて耳心地のいい断末魔ぁ!ゾクゾクするぅ!数だけのひ弱な生き物めぇ!潰せ潰せぇ闇巨神っ!虫のごとく全て潰してしまえぇぇぇぇぇ!」
ベルセが、伝説の凶悪女王と呼ばれる所以を誰もが理解した。
「なんてことをぉ!」
フレイヤ女王は、ベルセを睨みつけながらも近衛兵達によって後方へ避難させられる。
「はは……これはヤバい事になって来たなぁ~いよいよおいら達の奥義の出番か?」
レイブンが青ざめながらも少しでも明るくフェリックスとシーラに話しかける。
「私達の奥義で勝てる?まともにぶつかれば負けるわよ!」
「俺もそう思う……だが勇者として俺達がどうにかせねば!しかし、どうすれば?」
「なんじゃいお前達!泣き言か?情けないの~もっと頭を使え!」
「タマ!失礼だろ!す、すみません。コイツ馬鹿なもので……」
ルビは、タマの代わりにペコペコと謝り倒した。
「……何かいい方法でもあるの?」
アーネは、タマのあまりの余裕さを不思議に思い尋ねる。
「え?あるのか?」
「フッフッフッ!あのタイプは、確かに剣も弓も弾き、魔法攻撃さえ吸収する。一見無敵に見えるじゃろうが……じゃが」
「じゃが?もったいぶるなよ!早く言え!」
ルビが、タマをブンブンと激しく揺すった。
「や、やめろっ!分かった!分かったから!……ふぅ、全員よく聞くんじゃ。」
◇◇◇
フレイヤ女王に説明し、ルビ達は城内で対策会議を開く。
その間も闇巨神が、城壁へ攻撃を加える音が聞こえてくるが、宮廷魔道士達が全力で魔力障壁を張り時間を稼いでくれていた。
しかし、そこまで長く時間が稼げない事は、誰もが理解していた。
タマの説明が終わるとレイブンが「なるほどねー」と納得した。
「その間は俺がみんなを鉄壁の盾だ!盾勇者の意地を見せてやる!」
「フェリックスぅ無理しないでね。私も神聖魔法で頑張るわ!」
「よしっ!それに賭けよう!宮廷魔道士達の魔力もそろそろ限界だろうからな!」
ずっと後ろで聞いていたフレイヤ女王がそう言って立ち上がった。
「私も何かできたらよかったのですが、Lv.1魔王のままなので……」
「桜花ちゃん……MP回復ポーションを配るのも大事な仕事だから俺と一緒にや頑張ろう。」
「ルビ……うん!私も頑張るわ。」
ルビと桜花のやり取りにイライラしたアーネは、こっそりタマに何か質問し、その回答を聞いた後、「ふん!」と鼻を鳴らして1人外へ向かったのだった。
「さっき説明した通りで、お主がいなければこの作戦は成功しないぞ。『レベルMAX勇者召喚』スキルの裏技じゃ!『能力3倍強化』をシーラ達レベルMAX勇者達にかけるのじゃ!」
ルビは、タマの指示でレベルMAX勇者3人に『能力3倍強化』を使用する。
「シーラ、フェリックス、レイブンを能力3倍強化!あれ?これでいいのかな?あれれ?」
「そう!そのまま念じれば良い。」
ヒュイーーーン!
ルビは、いきなりの大量魔力消費から脱力感に襲われ倒れそうになる。
「ぐっぅ!こ、これはキツイ!」
「当然じゃ!能力3倍強化は、1人ごとに2万MP必要じゃからな。いま一気に6万MPを使用したことになるの~」
「それはキツイはずだ……」
「MP回復ポーションを少しでも飲んでおけ。連続で飲んでも効力は無いのじゃからディレイタイムは、計っておくんじゃぞ。」
「くぅ……考えが甘かった。まさかここまで気分が悪くなるなんて……」
「大丈夫ですか?MP回復ポーションを飲んで下さい。」
桜花は、ルビを支えながらポーションを渡した。
「あ、ありがとう。」
レイブンの体から光のオーラが溢れ出して来る。それはシーラとフェリックスも同様であった。
「うほぉぉぉ!これはすげぇぇ!力がみなぎって来るぜ!ルビやるなぁ!」
「これならば闇巨神の攻撃を受け止められる!」
「私も神聖魔法を撃ちまくるわね!」
「それでは打ち合わせ通りに。作戦開始っ!」
フレイヤ女王は、その場にいた全員に号令をかけた。
(これで勝てるはず!もし、これで勝てなければ俺達はもう……いや勝つんだ!)
ルビは、首を大きく振り、ネガティブな考えを捨てた。
◇◇◇
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